過去10年間の年平均リターンは?
2024年9月末時点の「世界のベスト」の10年間のトータルリターンは年9.76%(商品分類平均:9.01%)になっている。5年では年17.52%(同:13.93%)、3年で年21.83%(同:7.53%)という成績だった。いずれも、「追加型/内外/株式」という投資信託協会の制定した商品分類の平均を大きく上回る運用成績になった。
ただ、毎月決算型で分配金を受け取り続けていると、その運用成果は異なったものになる。たとえば、20年前に100万円を同ファンドに投資した場合、2024年9月末時点の評価額は95万1360円と投資元本を4万8600円下回っている。ただし、この間に166万7500円の分配金(税込み)を受け取っていて、基準価額のマイナス分を差し引いて約162万円の収益があった。投資元本は分配金込みで資産価値は2.67倍になった計算だ。
また、2004年10月から20年間、毎月月末に1万円ずつ積立投資をしてきた場合、2024年9月末までに240万円の投資元本になるが、評価額は216万8000円になる。23万2000円のマイナスだ。この間に受け取った分配金(税込み)は280万6000円になる。投資元本に対して分配金込みで資産価値は2.17倍相当になった。
「毎月決算型」はNISAの対象商品ではないので、分配金から20%の税金が源泉徴収されることになる。先ほどの資産価値も収益部分から20%減額する結果になる。資産を積み上げて増やすという考え方であれば、分配金を受け取らずに再投資するか、分配金の払出が少ない年1回決算型を選ぶ方が良い。年1回決算型であれば新NISA成長投資枠の対象商品だ。また、2023年9月に「奇数月決算型」が新設されている。こちらは新NISA成長投資枠の対象なので、分配金も20%の課税なく受け取ることができる。
(出所)投資信託協会のデータを使って筆者作成
リーマン・ショックで吐き出した利益を取り戻す
なお、この20年間は2008年の「リーマン・ショック(世界金融危機)」を含む期間になっているため、過去10年と過去20年の投資成果に大きな隔たりがある。2004年から2006年まで積み上げた収益を2008年の「リーマン・ショック」で全て吐き出した上で、さらにマイナスの収益となり、そのマイナス分を取り戻したのは2013年1月になってからだ。この9年あまりの期間は、投資している価値がなかった期間ということになる。
ただ、実際に投資することを考えると、2004年の時点で「リーマン・ショック」のような危機がやってくることを予測できるものではない。むしろ、「リーマン・ショック」のような100年に1度といわれるような株価の大暴落があったとしても、それから10年間、継続して投資を続けていれば、十分な投資収益をあげられたということが重要だろう。株式のようなリスク資産への投資は、少なくとも10年単位で長期投資することを前提に投資を考えたい。
結果:20年前に100万円を「世界のベスト(毎月決算型)」に投資していたら
約162万円の利益!
執筆/ライター・記者 徳永 浩