3年前の今頃…

今から3年前の2021年7月、コロナ禍で1年延期されていた東京オリンピック・パラリンピックが開催された。その頃、コロナ感染症の拡大は依然続いていた。7月に東京に4度目の「緊急事態宣言」が発令され、このため、オリンピックの開会式は無観客、オリンピック競技のほとんどが観客を入れない形で実施されることになった。

この頃、株式市場は活況だった。特に米国株価は好調で、NYダウやS&P500などの主要株価指数は史上最高値を連続して更新していた。欧州や日本では変異ウイルスの感染拡大が嫌気され株価は横ばいとさえなかったものの、米国株価は結果的に2021年12月まで株高が続いていった。その後、2022年2月にロシアが突如ウクライナに侵攻するまで、堅調な相場が続いていた。

そんな3年前に“オルカン”といわれる「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」に投資したとしたら、今頃はいくらになっているだろうか?

「オルカン」を選ぶ理由は?

そもそも、なぜ「オルカン」を購入しようと決めたのだろう? 当時の株価の動きだけを見ていれば、「オルカン」ではなく「S&P500」、あるいは、「NASDAQ100」の方が、良い値動きをしていた。「オルカン」に投資すると、株価が横ばいで動きが鈍い欧州や日本の株式にも投資することになる。米国株上昇の足を引っ張られるのは目に見えていた。

ただ、米国株の上昇は、コロナショックの2020年3月を起点としているため、すでに1年以上の上昇となり、下げらしい下げもなく一本調子に値上がりしていた。そろそろ高値警戒感ということも気になったろうか。あるいは、米国株と同様に大きく値上がりしていたインド株の動きを捉え、やはり、長期の成長には新興国への投資も欠かせないと考えたのかもしれない。

投資する際には、「なぜ選んだか?」ということは重要なポイントになる。「オルカン」を選んだのは、「株価上昇への期待」だけではなかった。「長期で投資することを前提に投資先を分散し、新興国への投資も捨てがたい」と考えた結果だ。

「オルカン」過去3年間の年平均リターンは?

2021年7月末の「オルカン」の基準価額は1万5483円だった。2024年6月末は2万6442円。3年間で基準価額は約71%値上がりした。年平均の値上がり率は19.53%だ。「オルカン」が連動をめざす「MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)」の円換算値の過去30年(2024年6月末時点)の年平均リターンは9.8%程度であるため、過去3年間は長期の平均リターンの2倍以上のスピードで値上がりしたことになる。

出所:投資信託協会のデータを元に編集部作成 
2021年7月末~2024年6月末までの36カ月(3年間)

年平均19%というリターンが得られたことは、非常に大きな成果といえる。この間、預貯金に預け入れていても金利はゼロ%、また、ここ数年は比較的大きな上昇となっている物価上昇率も、消費者物価上昇率で2024年6月の数値は前年同月比2.8%のプラスという水準であり、それを大幅に上回っている。投資した価値は十二分に得られたという成果と評価できるのではないだろうか。