(2)ダウンサイドリスクではアクティブファンドのリスクが小さいケースも
図1と同じ10ファンドのやはり10年間のリターン用いて、市場(TOPIX)上昇時と下落時の各ファンドの市場追随率を計算しました(図2)。
10ファンド中5ファンドが市場上昇にも下落にも強い特性を示しています。
市場上昇時
アクティブファンドは、市場上昇時には市場以上のプラスのリターン(追随率100%超)をあげることが期待されます。図2では10ファンド中9ファンドが市場上昇時の追随率100%超となり、市場の上昇に強い実績を上げています。
市場下落時
アクティブファンドは、市場下落時には逆に市場ほどはマイナスにしないリターン(追随率100%未満)が期待されます。図2では10ファンド中5ファンドが追随率100%未満を達成し、市場よりもダウンサイドリスクの小さい実績を上げています。
ダウンサイドリスクの小さいアクティブファンドでは、業績の安定性や競争力、あるいは株価の割安度などに着目することにより、下値抵抗力のある銘柄の選定に成功していると思われます。こうしたファンダメンタルズ重視のファンドは、いつの時代でも、また日本株以外の株式投資でも多く見られます。
図2 市場(TOPIX)追随率(市場上昇時/下落時)で見た代表的日本株アクティブファンド
【以上のことから導き出された結論:アクティブファンド投資の常識①】
リターンのばらつきとしてのアクティブファンドのリスクは、インデックスファンドに比べ大きい傾向があります。ただしダウンサイドリスクではアクティブファンドの方が小さいケースも多く見られます。
今後の市場の方向性に自信が持てず、市場下落や調整局面入りのリスクを感じている方は、アクティブファンド、中でも企業のファンダメンタルズや株価水準を重視してダウンサイドリスクを抑制するような投資手法を用いるファンドの利用も検討すべきでしょう。具体的にはインデックスファンドの代わりにあるいはインデックスファンドへの投資の一部を置き換える形で、アクティブファンドを利用する方法が考えられます。
次回もアクティブファンド投資の常識を疑います。