人的資本経営とファイナンシャルウェルビーイングの最前線

後半は「人的資本経営におけるファイナンシャルウェルビーイングの位置づけと具体的な取組」と題して企業トークセッションが行われた。スピーカーにNEC企業年金基金常務理事 兼 NEC人材組織開発統括部 シニア年金プロフェッショナル本間智克氏、株式会社パソナグループ 常務執行役員HR本部長金澤真理氏、早稲田大学大学院 早稲田大学ビジネススクール教授入山章栄氏を迎え、NECとパソナにおけるFWBおよび金融経済教育への取り組み事例に学んだ。

左から早稲田大学ビジネススクール入山章栄教授、NEC本間智克氏、パソナグループ金澤真理氏

NECでは「選ばれる会社」となるための人とカルチャーの変革を推進、柱の一つとして働き方に関する項目を据え、FWBの実現を目指している。社会の流れや価値観の変化に合わせ、キャリアやライフプランに応じて個人の自立という観点を重視。退職金制度を従来の確定給付企業年金(DB)から企業型確定拠出年金(企業型DC)へと18年かけて転換した。FWBの実現に向けて、具体的にはDC年金の拡充と社員向け資産形成サービス「Shines」の提供に注力。グループの資産運用コンサルティング企業Japan Asset Managementの知見を活かし、NECグループの人事制度、退職金制度を考慮したアドバイスを受けられるサービスを今年1月から本格稼働。土日祝日や終業後の対応や、家族の利用も可能なサービスで、「大変好評を博している」と本間氏は語る。

パソナでは社会的にウェルビーイングの機運が高まる中、「こころ・からだ・きずな」をテーマ、「自分の未来は自分で創る」をコンセプトに社員の自立型キャリア形成を推進している。金融経済教育については福利厚生制度のカフェテリアプランにあるが認知度は低く、活用されていなかった。反面、社内アンケートの結果からはマネープランのニーズが高いことが分かり、強化するため教育コンテンツを設計。ライフデザインセミナーを多様なサービスと連携、ライフステージに応じて選択できるウェブコンテンツとして対象者を広げるとともに、社内のFP(ファイナンシャルプランナー)有資格者を活用した相談窓口を設置。「資産形成に興味はあるが行っていない層に一歩踏み出してもらう施策を強化していく」と金澤氏は力を込めた。