――投資において自分の「リスク許容度」を理解することが大切なのですね。リスク許容度の基準などについて、もう少し詳しく教えてください。

リスク許容度を「高い・普通・低い」3つのレベルに分けてみると分かりやすいでしょう。

<リスク許容度の分け方>

100万円の資金を投資に回したとき、1年後に投資資金が何万円まで減ったら投資をやめてしまうか?を考えてみてください。

①  90万円まで減ったら投資をやめてしまうかもしれない方:リスク許容度が「低い」と言えるでしょう。

②  75万円くらいまでなら大丈夫と思う方:リスク許容度は「普通」だと考えられます。

③  60万円未満になっても投資を続けるだろうと考える方:リスク許容度は「高い」と言えるでしょう。

――リスク許容度別のおすすめの資産配分などはあるのでしょうか。

投資配分を決める際には、投資を検討している金融商品を大きく2つに分類して考えることをおすすめします。

一つは価格変動が大きい(=リスクが大きい)ことと引き換えに高いリターンが期待できる「攻め」の資産で、もう一つは価格変動が小さく(=リスクが小さい)リターンも小さい「守り」の資産です。

一般に、株式が攻めの資産と言われるのに対して、債券やREIT(不動産)は守りの資産とされています。

リスク許容度が高い方は株式を中心に、リスク許容度がそれほど高くない方は債券やREITを中心に投資先を検討するのが良いでしょう。

リスク許容度が①低い・②普通・③高い方、それぞれにおすすめする資産クラス配分は以下のとおりです。

①リスク許容度が「低い」方におすすめのポートフォリオ:
・国内株式:10%
・米国株式:10%
・国内債券:30%
・先進国債券:30%
・国内REIT:10%
・米国REIT:10%

このポートフォリオでは、債券を中心に組み立てており、価格変動が少なく安定した運用を目指しています。加えて、株式の割合を低く抑えることで、リスクを最小限にしつつ一定のリターンを狙います。リスクを取らずにゆるやかに資産を増やしたい方や資産寿命を延ばしたい方に適しています。

②リスク許容度が「普通」の方に向けたポートフォリオ:
・国内株式:20%
・米国株式:40%
・国内債券:10%
・先進国債券:20%
・国内REIT:10%

このポートフォリオでは、株式を全体の60%と比較的多めに持ちつつも、債券やREITを組み入れることでバランスの取れた運用を目指します。株式のリスクとリターンの特性を活かしながら、債券の安定性やREITによる不動産の収益を取り入れることで、長期的な資産形成を図ります。ある程度のリスクは許容できるものの、安定性も求める方におすすめです。

③リスク許容度が「高い」方におすすめのポートフォリオ
・国内株式:30%
・米国株式:50%
・先進国株式(日本を除く):10%

・新興国株式:10%

このポートフォリオは、すべてを株式で構成し高いリターンを目指しています。国内外の株式に分散投資することで、各市場の成長の恩恵を最大限に受けることを狙います。米国株の割合を高くしつつ、先進国株や新興国株も組み入れることで、世界経済全体のダイナミズムを取り込む設計となっています。リスクを積極的に取って資産を増やしたい方に向いています。