――まずはNeudataについて教えてください。
董 Neudataは2016年に英ロンドンで設立されたオルタナティブデータの研究機関であり、機関投資家を対象にオルタナティブデータのさまざまな情報を提供しています。具体的にはオルタナティブデータに関するリサーチカタログや機関投資家とデータプロバイダーのマッチングイベント、機関投資家向けのデータ仕入れコンサルティングなどのサービスをグローバルに提供しています。
これまでは欧米諸国や中国で事業展開してきましたが、今後は日本にも力を入れていく方針です。日本国内での認知度向上を目指すべく、業界団体であるオルタナティブデータ推進協議会(JADAA)にも加盟しました。
――日本国内の機関投資家にはまだオルタナティブデータが浸透しているとは言えない状況かと思いますが、どのようなポテンシャルを感じていますか。
董 成長余地が十分あると考えています。今ではオルタナティブデータが広がっている中国も、3年前は日本と大差ない状況でした。データホルダーの企業ポリシーや言語の壁、金融商品に関わる各種規制などさまざまな課題はありますが、国家による規制の厳しい中国に比べればオルタナティブデータを浸透させやすい環境にあると言えるでしょう。
また中国経済が停滞する中にあって、日本はこれまで以上にアジア地域の有力マーケットになると見ていますし、なにより名目GDPベースで世界第4位の経済大国です。オルタナティブデータの潜在的ニーズも多くあると見ています。
――海外におけるオルタナティブデータのトレンドをお聞かせください。
董 一部のオルタナティブデータで低価格化が進んでいます。取引情報や位置情報といった人気かつデータソースを入手しづらいものは従来通りの価格設定が続いていますが、インターネット上から情報抽出する「ウェブスクレイピング」を用いたオルタナティブデータなど参入障壁の低い分野は競争が働き安価になりつつあるのです。例えばウェブスクレイピングを主なソースとしてSEC提出書類などを解析するセンチメンタル商品の購入価格を見てみると、2018年ごろは5万~15万ドルほどでしたが、現在では一部のトップクラスベンダーを除き、2.5万ドル程度まで低下しました。
――日本と海外で提供されているオルタナティブデータに違いはありますか。
董 日本で人気のある取引データや位置情報のオルタナティブデータは、海外でも定番化しています。
大きな違いとしては、やはりデータベンダーの数が欧米諸国の方が圧倒的に多いことが挙げられます。特にウェブスクレイピングや各種ニュースなどデータソースを得やすいオルタナティブデータは、先述の通り参入障壁が低いため、新興データベンダーが続々と新商品を開発しています。