ストラクチャードファイナンス(仕組み金融)へ注力する銀行が増えています。企業へ融資する手法の一つで、借り手の信用力ではなく特定の資産や事業を評価して貸し出す特徴があります。

ストラクチャードファイナンスへ積極的に取り組む銀行の一つが群馬銀行です。2022年4月に専門部署を設立し、複数の部署に分散していた機能を一元化。人員も強化してきました。これらの取り組みでストラクチャードファイナンスの残高は2022年3月期比で4.3倍に増加しています。

ストラクチャードファイナンスは一般的な融資より収益性に優れる傾向にあります。群馬銀行はストラクチャードファイナンスを成長領域と位置づけ、さらなる積み上げを目指します。

全体の業績も好調です。直近の2024年3月期は純利益が8年ぶりに過去最高を更新しました。今期も最終増益を計画しています。

なにが群馬銀行の業績を押し上げたのでしょうか。理由を探ってみましょう。

群馬県でシェア圧倒 全国でも規模トップクラス

群馬銀行は、複数の銀行を統合し1932年に設立された地方銀行です。統合の中核となった第三十九国立銀行の歴史は1878年までさかのぼります。群馬県を中心に関東地域へ広く展開するほか、長野県と大阪府にも店舗を持ちます。

さらに群馬銀行はニューヨークにも拠点を持っています。県内の自動車関連企業の進出を支援する目的で1988年に開設しました。なお、群馬銀行は自己資本比率規制上の国際統一基準行を採用しています。

群馬県におけるシェアは圧倒的です。県内には信用金庫や信用組合を含め13の地域金融機関が本店を置きますが、地域の貸出金の3割超を群馬銀行が握っています。

【群馬県の地域金融機関 貸出金の上位5社(2023年3月末)】
・群馬銀行:6兆0497億円
・東和銀行:1兆5648億円
・しののめ信用金庫:4374億円
・桐生信用金庫:3202億円
・高崎信用金庫:2233億円

出所:金融庁 都道府県別の中小・地域金融機関情報一覧

全国的にも群馬銀行の規模は上位です。総資産は地方銀行62行中で11位、北関東では2位に位置しています。

【北関東4県に本店を持つ地方銀行の総資産(単体、2024年3月期)】
・常陽銀行:13兆1153億円
・群馬銀行:10兆7635億円
・足利銀行:8兆6787億円
・武蔵野銀行:5兆3753億円
・筑波銀行:2兆8511億円
※北関東4県:群馬県、栃木県、茨城県、埼玉県

出所:全国銀行協会 地方銀行の決算