金利上昇で一部繰り上げ返済する人が半数近くに

実は日本の住宅ローン利用者の多くは住宅ローン金利が変動するタイプ(変動金利)を選択するのが一般的。低金利が続いていたころは他の金利タイプに比べて低い金利で借りられたからです。

しかし今回の金利上昇によって変動金利のリスクが現実のものに。そこで対応策の1つとして挙がるのが繰り上げ返済。毎月の返済に加えて、住宅ローン残高を予定より早く返済することで、住宅ローン残高が減り、毎月の支払利息も減るため、金利上昇による支払利息の増加を軽減できます。

住宅ローン利用者は金利上昇に対して何か対応を検討しているのでしょうか。調査結果では、「検討する」と回答した人が67.2%に。具体的な対応策としては、「一部繰上返済をする」と回答した人が45.0%と最多で他の選択肢を圧倒。

確かに繰り上げ返済には支払利息の節約効果がありますが、一方で手元の資金が減ってしまうため、急にまとまった出費が発生した場合に資金不足の恐れが。不足分をまかなうために再びお金を借りては元も子もありません。子どもがいて出費がかさむ世代などは特に注意が必要です。

また住宅ローン利用者は障害や死亡などで返済ができなくなった場合に住宅ローン残高がゼロになる団体信用生命保険に加入することが一般的ですが、繰り上げ返済で住宅ローン残高が減ってしまうと、保険の効果が薄れてしまうことも。 

次いで多いのは「金利上昇によって返済にどの程度の差が出るか自分で確認する」「借入金融機関へ返済計画見直しの相談をする」と回答した人でそれぞれ20.1%、19.9%。いきなり行動に移すのではなく、まずは対応を検討してみたり、専門家に相談したり、できることから始める人も一定数いるようです。

 
出所:三井住友トラスト・資産のミライ研究所 「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2024年)