海外投資家が、現物よりも好む「先物」の動向に答えが
さて、株式市場の需給を把握するうえで、もうひとつ見ておくべき数字があります。それは先物市場の動向です。
ご存じのように、株式市場は前述した現物市場に加えて、先物市場が存在します。そして巨額の資金を動かす海外投資家が日本株に投資する場合、現物市場よりも先物市場を好みます。なぜなら、先物市場の方が現物市場よりも流動性が高いからです。
では、7月第3週(7/16~7/19)から8月第1週(8/5~8/9)までの、日経平均先物の売買動向はどうなったのでしょうか。
前述したように、海外投資家による現物株式の売買動向は、8818億2814万6000円の売り越しでしたが、先物取引は、1兆8935億6908万4000円の売り越しでした。何と、現物株式の売り越し額を1兆円超も上回る売り越し額だったのです。
しかも、日経平均株価が最高値を付けてから下落基調に転じた期間中、海外投資家は日経平均先物をずっと売り越していました。ちなみに、海外投資家による日経平均先物の週ごとの売買金額は、以下のようになります。
7月16日~7月19日・・・・・・2458億1325万2000円の売り越し
7月22日~7月26日・・・・・・5920億4102万3000円の売り越し
7月29日~8月2日・・・・・・2225億6274万4000円の売り越し
8月5日~8月9日・・・・・・8331億5206万5000円の売り越し
このように先物市場で多額の売り越しが出ていることが分かります。特に、株価が大きく下げた8月5日を含む週の売り越し額が、大きく膨らんでいることも確認できます。
ただ、先物取引には期日があり、その期日までに売ったものは買い戻す必要があります。つまり巨額の売り越しは、どこかの時点で買い戻しに転じることになるのです。したがって今回の株価急落が、海外投機筋による投機売りだとしたら、買い戻しによって株価が反転上昇する可能性は十分にありますし、だからこそ日経平均株価が、最高値から最安値までの下げ幅の、6割超戻しを実現できているとも考えられるのです。