米国の景気後退? 為替? 金利? 結局、急落の“真犯人”は何か
とはいえ、④以外の要因についても、なぜそれが日経平均株価を過去最大の下げ幅にしたのか、釈然としないところがあります。
米国の景気後退懸念や、ハイテク株の下落は、何も今に始まった話ではありませんし、そもそも8月5日に日経平均株価が急落した時も、米国をはじめとする他の国の株価は、それほど大きく下げてはいませんでした。もし、①や②が日本株の下落を引き起こした真犯人だとしたら、米国株の方が大きく下げなければ、理屈に合いません。そうなると、8月5日の株価急落は、日本独自の要因によるものと考えるのが妥当でしょう。
日本独自の要因は何かとなると、上記4つのなかでは③の「日銀の利上げ」になります。
ただ、それでも解せないのは、仮にそれが要因だったとしても、なぜ1日で4451円も下げなければならなかったのか、ということです。この下げ幅は、1987年10月20日のブラックマンデーを上回るものでしたし、下げ率で見ればブラックマンデーに続く過去2番目ですが、2008年10月16日のリーマンショックを1%ほど上回るものでした。
ブラックマンデーにしても、リーマンショックにしても、それらは世界的な株安を誘発し、かつ金融不安を高めました。そうしたなかで日本株も急落したわけですが、今回はそこまで危機感が高まっていないなかで、日本株だけが大幅な下げを演じることになったのです。
そう考えると、8月5日の株価急落は、日本の株式市場の構造的な要因によるものではないかと考えられます。