東証の売買動向データから考えられる「真犯人」
では、何が日本の株式市場特有の要因だったのでしょうか。東京証券取引所が発表している投資部門別売買動向を見ると、極めて投機的な動きが強まったからではないかと考えられます。
日経平均株価が過去最高値を更新した7月11日以降、8月5日の急落も含めて、日本株は売り基調が続いていました。この間、国内株式市場の取引に参加している投資家は、どう動いていたのでしょうか。
まず現物から見てみましょう。
7月第3週(7/16~7/19)から8月第1週(8/5~8/9)までの、東証プライム市場における売買動向を見ると、
個人投資家・・・・・・1兆2123億9680万8000円の買い越し
投資信託・・・・・・3653億9112万7000円の買い越し
海外投資家・・・・・・8818億2814万6000円の売り越し
自己・・・・・・2兆339億5219万2000円の売り越し
となっています。自己は証券会社の自己売買、いわゆるディーリングの売買動向です。また投資信託は個人マネーが大半を占めると思われるので、現物株式の売買動向を見ると、個人が積極的に買い向かうなか、海外投資家と証券会社の自己売買部門が“売りまくって”いたことが分かります。
なお、個人投資家の売買動向を現物と信用で見ると、同期間中、現物は買い越し基調が続き、信用取引も7月第3週から第5週まで買い越しが続いたものの、8月第1週は3017億9267万4000円の売り越しになりました。これは、8月5日の急落によって、信用の買いポジションを切らざるを得ない状況に追い込まれた個人投資家が大勢いたことを示しています。