8月5日の歴史的株価急落はなぜ起きた?
まさに阿鼻叫喚(あびきょうかん)だった8月5日の株価急落から、半月が経過しました。下げ幅としては過去最高となったわけですが、そこから相場は堅調に戻してきています。
日経平均株価は、8月5日の最安値が3万1156円で、8月16日の終値が3万8062円でしたから、7月11日につけた最高値の4万2426円からの下げ幅に対して、6割超を戻したことになります。今の状況からすれば、マーケットは徐々に落ち着きを取り戻してきたと言えそうです。
なぜ今回、ここまで株価が急落したのでしょうか。
一般的に言われている理由は、4つあります。①米国の景気後退懸念、②米国のハイテク株の下落基調、③日銀の利上げ、④地政学リスクの高まり、がそれです。
上記4つの要因のうち、①と②は関連性があります。米国の景気が後退すれば、これまで大きく買い進められてきた米国ハイテク株が下落に転じる……と、弱気になった投資家が日本株も売却する、というものです。
次に③ですが、7月31日の日銀金融政策決定会合で、日銀が政策金利の誘導目標を0.25%に引き上げたことにより、これまで低金利の日本円を調達して海外などに投資していた資金が、逆の動きをし始めたことが挙げられます。
円を調達して外貨に換え、それで海外に投資することを円キャリートレードと言いますが、これから先、日本円に金利が生まれるとなれば、円キャリートレードの優位性が失われます。そのポジションを解消する動きになれば、かなり強い円買い需要を引き起こします。8月5日の株価急落と共に円高が急激に進んだ理由は、円キャリートレードを解消する動きが広まったためと考えられます。
そして④ですが、これは一応、理由のひとつに挙げられてはいるものの、いささか「取って付けた感」があります。ウクライナとロシア、イスラエルとパレスチナの緊張が高まったことで、市場にリスクオフの動きが広まったというものですが、日経平均株価を過去最大の下げ幅にした要因としては、いささか弱いと言わざるを得ません。