65歳からの7年間は資産形成のラストスパート期間
労働力人口に占める65歳以上の割合は年々上昇しています。1980年の割合は、わずか4.9%だったのに対して、2021年は13.4%です。ちなみに1980年の労働力人口は5650万人で、このうち65歳から69歳の年齢で働いている人の数が165万人、70歳以上でも働いている人の数は114万人でした。それが2021年は65歳から69歳で働いている人の数が410万人、70歳以上で働いている人の数は516万人になっています。ここまで増えると、もはや70歳でも働くのは当然と思えてきます。
ただし70歳まで働く場合、雇用形態は非正規雇用になるのが普通です。将来的には、定年制度そのものがなくなり、70歳でも正規雇用で働ける時代が来るのかもしれません。ただ少なくとも現状においては、非正規で働くことになりそうです。
では非正規社員の場合、月収はいくらになるでしょうか。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(出典:賃金構造基本統計調査〈厚生労働省〉)」によると、正社員・正職員以外の一般労働者で男女別に平均的な給与額を見ると、次のようになります。
【男性】
•60~64歳 28万3600円
•65~69歳 23万8000円
•70歳以上 20万9500円
【女性】
•60~64歳 19万9100円
•65~69歳 18万5800円
•70歳以上 17万7300円
もしパートナーがいるのであれば、2人で稼ぐダブルワークがお勧めです。この数字はあくまでも平均値なので、どの職業でもこの金額になるとは申し上げられません。ただし参考までに考えると、65歳から69歳までの間、ダブルワークをすれば、毎月42万3800円の収入を得ることができるのです。
そのうえ65歳から公的年金が満額受給できるとなれば、月々の生活費を絞ることによって、資産形成のラストスパートをかけることも十分に可能になります。健康寿命を考えれば、72歳前後までは何とか頑張って働けるのではないでしょうか。だとすれば、公的年金を満額受給できる65歳から72歳までの7年間を、資産形成のラストスパート期間と考えることもできます。決してあきらめる必要はないのです。
●第3回は【株価の大暴落時こそ見直される公的年金の安心感…「ねんきん定期便」のチェックすべきポイントを解説】です(8月28日に配信予定)。
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