セゾン投信社長の園部鷹博氏は1975年生まれの49歳。いわゆる“団塊ジュニア”で、就職氷河期世代にもあたります。厳しい雇用状況のなか、希望する職に就けずに、不安定な仕事に従事せざるをえなかった人も少なからずいます。そして、こうした背景から老後に向けた資産形成が十分にできていない人も……。

園部氏は50代に差しかかる同世代に、これから資産形成を始めても遅くないと伝えるため、書籍『50歳・資金ゼロから始める老後を幸せにする資産運用』を執筆。今回は本書から特別に、50歳から資産を増やすための知っておきたい公的年金の仕組みや具体的な投資手法をお届けします。(全4回の2回目)

●第1回:「結局、年金はもらえるの?」現役世代1.4人で1人の高齢者を支える2050年日本の未来図

※本稿は、園部鷹博著『50歳・資金ゼロから始める老後を幸せにする資産運用』(ビジネス社)の一部を抜粋・再編集したものです。

まず70歳まで働く意思を持つ

50代でまったく金融資産を持っていない人は、意外といらっしゃいます。ここで問題にしているのはあくまでも「金融資産」です。預貯金などの金融資産が1円もないという人でも、ひょっとしたら持家をはじめとする不動産などの実物資産を持っているケースがある点は含んでおいてください。

では金融資産をまったく保有していない世帯は、どのくらいあるものなのでしょうか。

数字は、金融広報中央委員会が毎年公表している「家計の金融行動に関する世論調査(出典:家計の金融行動に関する世論調査〈令和5年、金融広報中央委員会〉)」からのものです。

2人以上世帯における世帯主の年代別に、金融資産を保有していないと回答した人たちの比率は次のようになります。

•20歳代        36.9%
•30歳代        28.4%
•40歳代        26.8%
•50歳代        27.4%
•60歳代        21.0%
•70歳代        19.2%

20歳代の資産ゼロ回答が高いのは仕方がないところでしょう。お給料もそれほど高くないし、でもまだ遊びたい盛りだし。

この数字は2人以上世帯ですから、結婚している世帯主の家庭が対象になっています。30歳代以上になれば、そろそろ子供をつくろうという話も出てきて備えが必要になりますから、相応に金融資産を持つ世帯の割合が高まっていきます。そのため金融資産を保有していない世帯の割合は、30歳代、40歳代と低下していきます。それなのに、なぜか50歳代になると金融資産を保有していない世帯の割合が上昇します。

50歳代で金融資産を保有していない世帯の割合が27.4%もあるのは、それはそれで問題でしょう。そして本書は、まさにこういう人がターゲットでもあります。

50歳代で金融資産がまったくない、あるいは持っていたとしても極めて少額という人はどうすればいいのでしょうか。

その対策の第一歩は、できるだけ長く働くことです。