初の中期経営計画を推進中 導入される新しいコア預金モデルとは

しずおかFGは2023年3月、設立後で最初の中期経営計画を発表しました。2028年3月期を最終とする5ヵ年計画です。

財務目標は2024年3月期の決算公表時に上方修正されました。金利シナリオを見直し、利益水準と還元方針を引き上げています。

【中期経営計画の主な財務目標の引き上げ(2028年3月期時点)】
・経常利益:900億円以上→1000億円以上(1022億円)
・純資産ROE:6%程度→6.5%程度(4.8%)
・株主資本ROE:7%程度→7.5%程度(6.1%)
・配当性向:40%以上→50%以上(37.4%)
※()は2024年3月期実績

出所:しずおかFG 2023年度決算の概要

しずおかFGは利益目標の達成に向け、リスク資産を積み上げます。貸出金(平残)は国内で1兆1000億円、海外で3000億円を、有価証券は円債で1兆1000億円、外債で3000億円を増加させる計画です。

上記の取り組みでしずおかFGの金利リスクは増加するとみられます。しかし、リスク耐性は新しい「コア預金内部モデル」の導入で一定の強化がなされる見込みです。

コア預金内部モデルとは、流動性預金のうち銀行に長く滞留する預金(コア預金)のコア性を計測する手法です。長く滞留する性質が強いほど、コア性が高いといえます。コア性が高いほど銀行は低利で資金を調達しやすくなり、一般に収益が拡大します。

しずおかFGが導入するコア預金内部モデルでは、コア性が高くなることが見込まれます。しずおかFGの試算では、新モデルの導入で金利が0.1%ポイント上昇したときの評価益が5億円から79億円に改善します。これはリスク耐性の高まりを意味しており、10年国債に換算して7000億円~8000億円の買い入れ余力が生まれるとしています。

しずおかFGは、適切にリスクを管理しつつ、新モデルで生まれた余力を資産の積み上げにつなげる計画です。新モデルの導入は2024年9月を予定しています。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)