銀行業績の改善が進んでいます。金利上昇の初期は保有債券の値下がりなどから苦戦しましたが、損切りが進んだことから利益を増やす銀行が増えてきています。

めぶきフィナンシャルグループもその一つです。2023年3月期は債券の売却損で減益となりました。しかし翌期は増益となり、今期の2025年3月期は経常利益ベースで発足以来の最高益を計画しています。

保有ポートフォリオの再構築にも積極的で、今期は国内債へ7000億円~8000億円を投資する予定です(出所:めぶきFG 2023 年度決算説明会(ラージミーティング)における主なご質問とご回答(2024年5月24日開催))

今回は北関東の金融グループ、めぶきFGに焦点を当ててみましょう。同社の概要と足元の業績、また新しい株主還元方針を紹介します。

常陽銀行・足利銀行の2ブランド体制 茨城・群馬で高シェア

めぶきFGは茨城県と栃木県を地盤に持つ地方銀行グループです。足利銀行を傘下に持つ足利ホールディングスと常陽銀行が経営統合し、2016年に発足しました。足利HDはめぶきFGへ社名を変更し、常陽銀行と足利銀行はめぶきFGの子会社としてグループを構成しています。

首都圏に近い茨城県と栃木県は高いポテンシャルを持つ地域です。高速道路や空港といった交通インフラが充実しており、産業の集積も進んでいます。2013年~2022年の工場立地面積は茨城県が全国首位、栃木県は同4位となりました(出典:めぶきFG 個人投資家向け会社説明会資料)

めぶきFGは、このような恵まれた地域で高いシェアを持つ強みがあります。茨城県および栃木県において、貸出金は50%、預金は40%のシェアを握っています。

強固な営業基盤を持つめぶきFGは規模が大きく、総資産は地方銀行グループで3位です。

【地方銀行グループの総資産 上位5社(連結、2024年3月期)】
・ふくおかFG(福岡銀、十八親和銀など):32兆6497億円
・コンコルディアFG(横浜銀、東日本銀など):24兆3817億円
・めぶきFG(足利銀、常陽銀):21兆7861億円
・しずおかFG(静岡銀):16兆1415億円
・関西みらいFG(関西みらい銀、みなと銀):13兆4903億円

出所:全国地方銀行協会 地方銀行の決算