経常利益が躍進、ドコモとマネックスの提携が利益を押し上げ
冒頭の通り、しずおかFGは2023年度(2024年3月期)の経常利益は地銀首位となりました。業績を振り返りましょう。
しずおかFGの2024年3月期は増収増益でした。特に経常利益は前期比で30%台後半と大きく伸びています。これは持分法投資損益(前期比+77億円)と株式等関係損益(同+92億円)が主にけん引しました。
ただし純利益の伸びはおよそ10%にとどまっています。これは主に営業店の固定資産(ソフトウェアや土地など)で減損処理を行ったためです。この減損を主因に227億円の特別損失を計上しました。なお、経常利益と純利益はともに過去最高となっています。
【しずおかFGの業績(連結、2024年3月期)】
・経常収益:3465億円(+20.5%)
・経常利益:1022億円(+38.2%)
・純利益:577億円(+10.2%)
※()は前期比
※参考(銀行単体):業務粗利益1538億円(+6.5%)、業務純益679億円(+14.8%)
持分法投資損益の増加は、マネックスグループの株式売却益が主因です。マネックスグループはNTTドコモと資本提携し、マネックス証券株式の一部をNTTドコモへ売却しました。この取引でマネックスグループには株式売却益が生じ、しずおかFGにも持分法投資損益として利益が計上されています。
静岡銀行単体では、資金利益と役務取引等利益が前期比で増加しました。一方、その他業務利益は前期比で減少しています。債券の売却損は縮小したものの、外為の売買損失が拡大したことが原因です。なお業務粗利益全体では増加しています。
今期(2025年3月期)は、経常利益は減少する計画です。経常利益の減少は前期の一時的な要因(持分法投資損益など)のはく落が影響しています。
ただし純利益ベースでは増益を見込みます。資金利益の続伸やその他業務利益の黒字化を予想するなど、引き続き銀行本来の業務が好調に推移する見通しです。計画通りなら、純利益はふたたび過去最高を更新します。
【しずおかFGの業績予想(連結、2025年3月期)】
・経常収益:非開示
・経常利益:880億円(-13.9%)
・純利益:600億円(+3.8%)
※()は前期比
※参考(銀行単体):業務粗利益1630億円(+5.9%)