NTT株価“くすぶり”の要因は外国人投資家?

では、誰がNTTの株式を買い、もしくは売っているのでしょうか。投資家別の保有比率を見てみましょう。

政府および地方公共団体・・・34.87%(19/3)→32.25%(24/3)

金融機関・・・19.36%(19/3)→17.91%(24/3)

金融商品取引業者・・・1.37%(19/3)→2.32%(24/3)

その他の法人・・・1.27%(19/3)→3.68%(24/3)

外国法人等・・・26.7%(19/3)→18.78%(24/3)

個人その他・・・16.43%(19/3)→25.07%(24/3)

目立つのは、外国法人等の売りに対して、個人の買いです。

NTTの株主数の推移を見ると、2023年3月期の71万2180人に対して、2024年3月は177万9764人に急増しています。なぜ株主が急増したのかというと、2023年7月に実施した株式分割です。

この株式分割では、1株を25株に分割し、その分、1単元あたりの投資金額を少額にしました。分割前は1単元を買うのに約40万円必要だったのが、分割後は1万6000円ほどで単元株投資が可能になりました。

NTTが株式分割で投資金額を引き下げたのは、2024年1月からNISAの制度見直しによって、個人投資家が投資しやすいようにする狙いがあったからです。その狙い通り、株主数が急増するのと共に、個人の保有比率も向上しました。

一方、外国人投資家が売っている理由は何でしょうか。

NTTの株価が直近安値をつけた6月18日にかけて、NTTに限らず全体的に、外国人投資家による日本株売りが続いていました。

東京証券取引所の投資部門別売買状況によると、東証プライム市場における外国人投資家の売買状況は、5月第4週(5月20日~5月24日)から6月第3週(6月17日~6月21日)にかけて、5週連続の売り越しとなりましたが、これはNTTの株価が急落した時期と、ほぼ重なっています。

この点から、6月18日にかけてNTTの株価が急落した背景には、外国人投資家の売りがあったことが推察できます。

理由は、3月決算企業が5月上旬に発表した2025年3月期の業績見通しが、かなり保守的な数字だったからです。1ドル=160円まで進んだ円安も、日本に対する不安感を強める形になり、グローバルポートフォリオから日本のポーションを引き下げる動きが出たとも考えられます。その影響を、業績見通しが悪かったNTTの株価に、色濃く反映された可能性はありそうです。

とはいえ、三菱重工のように業績見通しが明るい企業の株式は買われます。大型株相場にも、二極化の動きが出てきたと言えそうです。