◆株高リスクに備え「債券ファンド」の組み入れ広がる

このような株高のリスクに備える動きは、他のメガバンクのランキングにも見える。三菱UFJ銀行もみずほ銀行もランキングのトップはバランス型ファンドであり、株式100%のファンドが一番人気ではない。加えて、トップ10の下位ながら、債券を主たる投資対象にしたファンドがランクアップしている。三菱UFJ銀行で第8位にランクアップした「三菱UFJ/マッコーリー グローバル・インフラ債券ファンド<為替ヘッジなし>(毎月決算型)(愛称:世界のいしずえ)」は、インフラ事業を行う企業が発行する社債を主な投資対象にするファンドだ。

また、みずほ銀行の第10位にランクアップした「NWQグローバル厳選証券ファンド(為替ヘッジなし/隔月分配型)(愛称:選択の達人)」は、世界の米ドル建て資産(株式、債券、優先証券など)に投資するファンドだが、有望企業を選定の後に、その企業が社債等を発行している場合は、株式と比較して優位と判断される証券に投資する仕組みになっている。5月末時点のポートフォリオの中身は、投資適格社債が30.3%、ハイイールド債券が25.7%、優先証券が21.7%など債券中心のポートフォリオになっている。三井住友銀行でも、第8位にランクインした「GSグローバル・パーシャルヘッジ社債ファンド」は、ハイイールド債券を含む社債を主たる投資対象としたファンドだ。

一方で、依然メガバンクの売れ筋の上位は、株式を主たる投資対象にしたファンド、または、株式を対象としたインデックスファンドが多い。インデックスファンドでは、三菱UFJ銀行と三井住友銀行で、ともに第2位に米国「S&P500」に連動したインデックスファンド、第3位が国内の「日経平均株価(日経225)」に連動したインデックスファンドになっている。日米ともに7月になって史上最高値を更新する上昇を見せており、多くの投資家が株式市場については強気の見方をしているということだろう。

◆メインシナリオの「米国成長株」はどこまで続くのか?

売れ筋の上位に「米国成長株」を主たる投資対象にしたファンドがランキングされているのは、現在の世界の株式市場をリードしているのは、「マグニフィセント・セブン=M7(アップル、アマゾン、アルファベット、メタ、マイクロソフト、エヌビディア、テスラ)」というハイテク巨大企業だからだ。2023年の市場をけん引し、株価が割高な水準にまで上昇したと懸念されつつ、2024年になっても依然として市場の中心であり続けている。これら「M7」の株価が崩れない限り、「米国成長株」やその影響が大きい「S&P500」や「NASDAQ総合」などの上昇も続くことになる。

メガバンクの売れ筋からうかがえるのは、メインシナリオとして現在のハイテク株高の継続を置きつつも、その株高の継続性にはやや慎重になってきたということだろう。そのため、バランス感覚が感じられる売れ筋となっている。7月になって日米の株価は史上最高値を連続して更新している。この株高に対して、メガバンクの売れ筋はどのように変化していくのか? 引き続き動向をチェックしていきたい。

執筆/ライター・記者 徳永 浩