メガバンク3行の6月の売れ筋は、上位銘柄に前月と大きな変動はなかったが、各行のランキング下位には債券を主な投資対象とするファンドがランクインしてきている。6月は、米国の「S&P500」や「NASDAQ総合」が史上最高値を更新し、国内株も上昇したが、この株高にリスクを感じる投資家も一定数は存在することが感じられる。

2024年6月の売れ筋のトップは三菱UFJ銀行が前月と同様にバランス型の「MUFG ウェルス・インサイト・ファンド(標準型)」、みずほ銀行も前月同様にバランス型の「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」だった。三井住友銀行は5月に限定追加型の債券ファンド「三井住友DS ワールド・ボンド・フォーカス2024-05(限定追加型)」がトップだったが、その募集期間が終わったため、2位以下の3銘柄が繰り上がった。

 

メガバンク3行の売れ筋ランキングは、三菱UFJ銀行と三井住友銀行が「総合」ランキング、みずほ銀行は「みずほインターネット投信除く、積立契約も除く」としている。

◆異彩を放つ「ピクテ・ゴールド」のトップ10入り

6月のメガバンクの売れ筋ランキングで目を引くのは、三井住友銀行のランキング第7位に入った「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」の存在だ。前月はトップ10にも入っていなかった。このファンドは、金地金(きんじがね)に投資する投資信託を投資対象とするファンドで、実質的に金地金と同じパフォーマンスをめざすファンドだ。金(ゴールド)は実物資産といわれ、株式等の有価証券とは異なって、そのものが希少性という価値を持っている。投資資産としては配当や利子などはなく、ただ価格変動のみがあるのだが、株式や債券といった有価証券の市場が下落するような局面で、価格が上昇するという特徴がある。

「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」のパフォーマンスを年次で振り返ると、米国株式市場が崩れた2022年にプラス16.1%という2ケタのリターンをあげているところが目立つ。2022年は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」はマイナス6.1%だった。2023年は株価が反発し、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は34.6%のプラスリターンだったが、「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」はプラス20.1%と、2020年以来、安定的にプラスリターンを重ねている。

2024年になっても米国株式は史上最高値を更新し、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は半年で30%を超えるリターンを記録している。年率換算で60%を超えるパフォーマンスは、過去5年間の年平均リターンが24.5%という実績と比較すると過剰に上昇しているように感じられる。株価下落時に活躍する「ゴールド」が選ばれる理由と考えられる。