三菱アセット・ブレインズがまとめた2024年6月の公募ファンドの純資産残高は103兆1773億円で前月比5兆4240億円増額した。2023年11月以来、8カ月連続の残高増で、増加額は23年11月の5兆804億円を上回り過去1年で最大になった。資産別には「外国株式型」が54兆9695億円で残高が前月比7.73%増加したが、増加率では「エマージング株式型」が前月比11.94%増加して5兆6484億円になった。

「国内株式型」は、残高こそ12兆1542億円と「外国株式型」に次ぐ残高があるが、月間の残高の伸び率は1.81%だった。資金流出入では月間で約 1兆2710億円の資金流入があり(前月は1兆1950億円の資金流入)、資金流入額を資産別にみると「外国株式型」が最大で約1兆470億円(前月は8510億円)、ついで、「エマージング株式型」の約2560億円(同約2200億円)だった。一方、資金流出は「不動産投信型」が約530億円(同約450億円の資金流出)で最大だった。前月は約1000億円の資金流入だった「国内株式型」は約170億円の資金流出に転じた。

 

◆「世界半導体株投資」が資金流入額でも収益率でも躍進

個別ファンドの資金流入額で、「外国株式型」のトップは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の約1962億円、そして、2位が「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の約1682億円、3位が「アライアンスB・米国成長株投信D」の約1299億円の順で前月と変わらなかった。第4位に「野村世界業種別投資(世界半導体株投資)」が躍進している。同ファンドの前月の流入額は約229億円で、「外国株式」の流入額ランキングで第10位だったが、6月は流入額が約567億円と倍増している。月間収益率では、「eMAXIS Neoクリーンテック」の17.77%がトップ。次いで、「テーマレバレッジクリーンテック2倍」の14.81%、「野村世界業種別投資(世界半導体株投資)」の12.49%となった。

「エマージング株式型」では、前月に続いて「HSBCインド・インフラ株式オープン」が約655億円の資金流入(前月は約540億円)でトップ。続いて「ダイワ・ダイナミック・インド株ファンド」の約379億円、「インド小型厳選株式ファンド」の約202億円など、流入額上位15銘柄のうち、14銘柄をインド株ファンドが占めた。唯一、「フィデリティ・新興国中小型成長株投信」が流入額約117億円で第8位に入ったが、前月の約275億円から流入額が減額しており、インド株人気に存在感を消されている。月間収益率では「ニッセイ新興国テクノロジー関連株式ファンド(資産成長型)」が7.03%でトップ。「エマージング株式型」で2ケタの収益率はなかった。資金流入額トップの「HSBCインド・インフラ株式オープン」は4.29%で「エマージング株式型」の中で第14位だ。

また、「国内株式型」では、トップが「日経平均高配当利回り株ファンド」(流入額:132億円)、第2位が「三井住友DS・ジャパン・ハイ・コンビクション・ストラテジー」(同約122億円)だったが、流入額が100億円を超えたのは、この2銘柄だけにとどまった。月間収益率のトップが「ミュータント」の9.78%と2ケタに届かないあたりが、「外国株式型」や「エマージング株式型」と比較して人気が続かない要因になっているようだ。