一躍「旬の銘柄」になったNVIDIA(エヌビディア)

台湾で生まれたジェンスン・ファン氏によって立ち上げられた米国の半導体メーカー、NVIDIA(エヌビディア)。半導体のなかでもGPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)といって、リアルタイム画像処理に特化した演算装置を主に製造している会社です。投資に興味を持っている人なら一度は耳にしたことのある会社名でしょう。

この会社が株式市場で話題になったのは、2024年1月期決算の数字が前期比で大幅に伸びたからです。売上高で2.26倍、当期利益で6.8倍にもなりました。結果、今年の1月2日時点では48ドルだった株価が、6月20日には一時140.76ドルまで上昇しました。およそ半年で約3倍の株価上昇です。

このように急激な株価上昇を目の当たりにすれば、当然、投資家は色めき立ちますし、それは商品を組成する運用会社や、証券会社も同じです。たとえば「NVIDIAなど米国のマグニフィセント7を中心に組み入れて運用するファンドが登場しました」といったセールストークで販売できるプロダクツを急きょ組成して、投資家に買わせようとします。

原資産をNVIDIA株とする、ブルベアETFが日本でも取引可能に

SBI証券が6月14日から、外国株式の取引口座を通じて売買できるようにした、「Direxion デイリーNVDA株ブル2倍ETF」と「Direxion デイリーNVDA株ベア1倍ETF」もそのひとつです。

どちらも米国のNASDAQ市場に上場されているETFで、SBI証券を通じて日本国内からでも売買できるようになっています。

両ETFの特徴について簡単に説明しておきましょう。

「Direxion デイリーNVDA株ブル2倍ETF」はレバレッジ型ETFに分類されます。レバレッジとは、原資産の値動きに対して数倍の値動きをするETFのことです。「デイリー」は、今日の値段の前日比に対して、2倍の値動きになるという意味です。

一方、「DirexionデイリーNVDA株ベア1倍ETF」は、1倍なのでレバレッジはかからず、原資産の前日比の値動きに対して、それと同率で「逆方向に」値段が動きます。つまり、前日比でNVIDIAの株価が2%上昇した場合、ベアETFの取引価格は2%値下がりするのです。ちなみに両ETFとも「原資産」はNVIDIAの株式です。

これで何となく、両ETFの使い方が見えてきたのではないでしょうか。ブル2倍ETFは、NVIDIAの株価がどんどん上昇している時にその効果を最大限に発揮するのと共に、ベア1倍ETFはNVIDIAの株価が下落に転じた時、リターンを得られます。