「定年も近いのに、今から投資してもいいのでしょうか?」

ファイナンシャル・プランナーの鬼塚祐一さんの元には、50代からこんな相談が多数寄せられます。 老後を堅実に生きるために、「50歳からは投資よりも貯蓄」という考えにとらわれ、なかなか踏み出せないようです。

そんな悩みに鬼塚さんは「まったく遅くはない」と答えます。実際に50代から投資を始め、成功した多数の例を見てきたからです。50代からおすすめの投資手法を4回に分けて解説してもらいます。今回は、50代ならではの注意点についてです。(全4回の1回目)

※本稿は『50歳ですが、いまさらNISA始めてもいいですか?』から一部抜粋・再編集したものです。

50代以降は投資するべきではない?

「50代以降の人は、投資なんてしないで節約して質素に暮らすべき」

この投資系ユーチューバーの言葉を聞いたある女性から、「もう、すでに私は節約しているし、これ以上何を節約すればいいのですか? 50代以降は人生を楽しむことを諦あきらめないといけないんですか?」と、私は相談されました。

50代以降は投資をするべきではないという考え方は、実は、そのユーチューバーだけではなく、多くの投資系インフルエンサーが発信しています。 それでは、なぜ50代以降は投資をしてはいけない、するべきではないと彼らは主張しているのでしょうか。その理由は、彼らが推奨している金融商品の特徴にあります。

「エスピー500」と「オルカン」の功罪

50代以降は投資をするべきでないという意見を持っている人がすすめている銘柄は、たいていS&P500かオールカントリーという2つの投資信託です。確かに、50代以降の人がこれらだけを買って資産形成をするのは、あまりおすすめできません。

S&P500とは、米国株式で運用する投資信託の1つです。 略してエスピー500とも呼ばれることがあります。 一方、オールカントリーは、全世界の株式で運用する投資信託の1つで、オルカンと略されることがあります。どちらも長期的に見ると高いリターンが期待できる投資信託だと言われています。