平均年収上昇率トップはユニークな経歴のあの銀行
図表1 銀行業界平均年収上昇率ランキング トップ10(2024年4月公開)
まずは企業データベースを展開する株式会社SalesNow DBによる24年4月公開の調査から銀行業界の平均年収上昇率をみていきましょう。企業の賃上げラッシュが続く昨今ですが、銀行業界はどうなのでしょうか。ランキングをみると、メガバンクや社名に「フィナンシャルグループ」とついた金融持ち株会社は1行もなく、後述する平均年収ランキングとは顔ぶれが大きく異なります。
そのなかで上昇率トップはあおぞら銀行です。前身は日本債券信用銀行というかつて存在した長期信用銀行の一つでしたが、1998年に経営破綻したのち、2000年に投資グループに売却されてからは01年に現在の社名となり、商業銀行として再出発しています。
メガバンクでもなく、地銀でもないというユニークなポジションが特徴的ですが、23年度決算が最終赤字に転落したことを受けて、大和証券グループとの資本業務提携を24年5月に発表しました。今後は富裕層ビジネスや不動産ビジネスなどでお互いに協力することで、経営立て直しを図っていくと期待されます。
ランキング上位は地銀が独占
2位は徳島県を地盤とする地銀である阿波銀行です。取引先を大切にし、長期的に取引を継続していくという「永代取引」が特徴の同行。実際に中小企業への貸出比率では地銀でも上位に位置しています。
3位は埼玉県では唯一の地銀である武蔵野銀行。「地域共存」「顧客尊重」という経営理念のもと、「地域になくてはならない銀行」をめざして「県民の銀行」をアピールしています。4位は滋賀銀行。近江商人の「三方よし」の精神を受け継ぎ、SDGsを目指す企業へのサステナブル評価融資にも積極的です。5位は富山銀行。本店は富山市ではなく高岡市です。小規模ですが、堅実な経営で知られています。