映画愛が結んだふたりの縁
友人として映画観賞をご一緒してきたふたりでしたが、いつしか博さんの自宅で古い映画をDVD鑑賞する仲に。そのうち、趣味が一緒で聞き上手・料理上手な博さんに対し、「こういう人なら結婚もありかな」と、涼子さんの気持ちに少しずつ変化が起きてきました。
博さんにとっても涼子さんは、映画へのこだわりを理解してくれる唯一の人で、いつしか「一緒にいたい」と思うように。ご家族・友人たちも、ふたりの仲が良い様子に一安心。「このまま結婚まで進めばいいな」と願っていたのですが、現実はそう甘くありませんでした。
ネックとなったのは「名字の変更」
ふたりが結婚を考え始めたとき、ネックとなったのは名字をどうするか。日本は婚姻届を提出する際、夫婦のどちらかの姓を選ぶ「夫婦同姓」が法律で規定されています。女性側が男性の姓に変更することが一般的ですが、その逆でも問題はありません。
ただ、涼子さんは営業という仕事柄、名字が変わることはデメリット。お客さまに「井口さん」で覚えてもらっている涼子さんにとって、「田沢になった」と理解してもらうには、時間と手間がかかるのです。筆者も金融機関の営業職のとき、結婚で名字が変わったことがお客さまに浸透するまで半年程度の時間がかかりました。
そのうえ免許証や銀行口座、取得資格などの氏名変更手続きは面倒なことばかり。「代行してくれる業者いないかな」と心底思ったものです。
一方、博さんは次男で総務という仕事柄、名字が変わることに抵抗なし。涼子さんが名字を変えたくないなら「井口姓」になってもいいと思っていました。そこに立ちふさがったのが博さんのご両親。「なぜうちが名字を変えなきゃいかんのだ!」と猛反対されたのです。
●果たしてふたりの結婚はどうなってしまうのでしょうか? 博さんと涼子さんのその後は、後編【事実婚を検討したカップルが「最大のデメリット」を痛感。ふたりが行き着いた衝撃の結末は…】で詳説します。