有給休暇取得率は平均よりやや低めだが、休暇の積立制度あり

日テレの勤務環境は1日9時間(休憩1時間含む)のフレックスタイム制。時間外勤務、休日勤務ありの完全週休2日制です。テレビ局という仕事柄、ハードな業務環境が想像されますが、有給休暇取得率は総合職社員43.4%、職種別社員53.4%(2022年度実績)。同年度の厚生労働省における調査では58.3%ですので、平均より若干低めとは言えそうです。

ただし、日テレには使い切れなかった有給休暇を積み立てておける「プール休暇」という制度や休日取得奨励日の設定など、有給休暇を取りやすくする仕組み(ホリデー24)があります。コロナ禍以降もテレワークを恒常的に導入、テレワークに必要な物品購入費は最大7万2000円まで支給されます。

ワーク・ライフ・バランスが重視されつつある昨今、残業時間についても変わってきているようです。例えば、子会社の制作会社・日テレWandsの採用募集からは月20時間程度と労働環境の整備が進んでいる様子がうかがえます。とはいえ、制作などのクリエイティブ職は特に撮影や編集の追い込み期もあるため、これをゼロにすることは難しいのかもしれません。

多様な施策がモチベーションアップと働き方改革につながる

多様な施策は働き方改革にもつながっています。番組制作の効率化にも貢献しており、例えばスポーツ番組では、AIシステム活用によるスコアデータ自動入力など省力化も推進中です。

日本テレビホールディングスはアニメ「葬送のフリーレン」「薬屋のひとりごと」などのヒットもあり、2024年3月期連結業績は売上高4360億円(前年同期比5.3%増)、当期純利益370億円(同8.6%増)の増収増益を見込んでいます。メディア・コンテンツ事業が売上と営業利益の9割を占めますが、主力の広告収入、番組販売収入は減少傾向にあり、IP(知的財産)ビジネスへのより一層の注力など多角化が急務です。

中期経営計画(2022~2024年)において1000億円の新規投資枠を掲げ、2023年10月にアニメ制作会社「スタジオジブリ」を100億円で買収しました。演劇舞台やジブリパークの拡張などを進め、コンテンツをフル活用し収益化を推し進めています。

あらゆるコンテンツを有効活用し、テレビ、ネット、リアルを融合した価値創造を進めるには人が資本です。多様な施策が社員のモチベーションアップにつながることが期待されます。