赤字知らずの安定企業 リスクは穀物価格
最後に経営成績をチェックします。
キッコーマンの業績は安定的です。3月期決算に移行した2002年3月期以降、最終赤字になったことはありません。減益も少なく、純利益が前期比で減少したのは同期間で2期のみです。2012年3月期以降は成長が加速し、利益率も大きく向上しました。
安定した業績は財務にも貢献しています。積み上がった利益剰余金により資産の7割は株主資本で構成されています。3割に満たない負債のうち有利子負債の割合はさらに小さく、健全性は高いといえそうです。
【キッコーマンの財務(2023年3月期)】
総資産 | 5664億円 |
負債 | 1494億円 |
営業債務及びその他の債務 | 613億円 |
リース負債 | 335億円 |
借入金 | 175億円 |
資本 | 4170億円 |
株主資本 | 4105億円 |
キッコーマンの足元の業績は以下の通りです。今期(2024年3月期)も増収増益を見込んでおり、最終増益なら11期連続で最高益を更新することになります。
【キッコーマンの業績】
売上高 | 純利益 | |
2022年3月期 | 5164億円 | 389億円 |
2023年3月期 | 6189億円 | 437億円 |
2024年3月期(予想) | 6677億円 | 506億円 |
※2024年3月期(予想)は同第3四半期時点における同社の予想
これまでの実績からキッコーマンは優良銘柄といえそうです。長期保有が基本となる新NISAでも、投資の候補に挙がりやすいでしょう。
ただし商品市況には注意したいところです。大豆や小麦といった穀物価格が上昇すると収益悪化の思惑が働きやすく、キッコーマン株式には値下がり圧力となる可能性があります。先述の通り、穀物が高騰した2022年は売られる場面もありました。
キッコーマンに限らず株式は損失の可能性がある商品です。投資の判断は慎重に行いましょう。