次はIT企業を買収 エーザイがデジタル領域へ投資する理由
エーザイのM&Aを巡ってはIT企業の買収が話題です。2022年3月に健康管理アプリ「パシャっとカルテ」を開発するアーティリックスを子会社化しました(出所:エーザイ 2022年4月1日リリース(外部リンク))。エーザイがIT企業を買収するのは初めてだとみられています。
また2023年10月にはデジタル事業会社としてテオリア テクノロジーズを設立しました(出所:エーザイ 2023年9月12日リリース(外部リンク))。認知症の早期発見に向けた発症リスク予測アルゴリズムや、日常生活動作を記録し診察時のコミュニケーションを支援するアプリなどを提供するとしています。
エーザイがデジタル領域に投資する理由はPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)の強化にあるとみられます。
PHRとは個人の健康や医療、介護に関する情報の記録です。継続的に日常生活のデータを観察することで認知症の早期発見や治療後の経過観察などに役立つと期待されています。上述の2社は、いずれもPHR領域のプロダクトを展開しています。
エーザイが2021年度からスタートさせた中期経営計画ではデジタル技術と創薬技術の連携が示されました。日常領域では健康状態の維持や予防などを支援するサービスの提供が想定されており、PHRはその中核サービスとなるとみられます。
エーザイは2022年6月、SONPOホールディングスや日本電信電話(NTT)らと共同でPHRサービス事業協会の発足を発表しました。PHRのルールやガイドラインを整備し、新しいサービスの創出を支援します。
PHRサービス事業協会は2023年7月に設立され活動を開始しました。PHRが広がればエーザイでも新事業が生まれるかもしれません。