届かない売上高1兆円の夢 株価は思惑で乱高下
M&Aでがん領域を強化したエーザイですが、目指していた売上高1兆円はいまだ達成できていません。買収後で最高の売上高は8032億円(2010年3月期、日本基準)です。直近の売上高は7000億円台半ばにとどまっており、純利益はMGIファーマ買収前(2007年3月期)を下回っています。
【エーザイの業績の推移】
2007年3月期 | 2023年3月期 | |
売上高 | 6741億円 | 7444億円 |
営業利益 | 1053億円 | 700億円 |
純利益 | 706億円 | 554億円 |
※2007年3月期は日本基準、2023年3月期は国際会計基準
出所:エーザイ 決算短信(外部リンク)
売り上げは2010年代半ばに大きく落ち込みました。特許切れや後発医薬品の普及などが逆風でした。2018年3月期以降は回復が続いています。
利益も停滞の傾向がみられます。純利益が買収前を上回ったのは抗がん剤の「レンビマ」が好調だった2020年3月期のみです。その他の期はいずれも2007年3月期を下回っています。
思うように成長できていないエーザイですが、株式市場はどう評価してきたのでしょうか。
エーザイの株価は2015年に大きく上昇しました。開発していたアルツハイマー型認知症の治療薬で良好な試験結果を得たことがきっかけでした。現在、エーザイは「レカネマブ」や「アデュカヌマブ」といった認知症治療薬をラインアップしています。新薬の開発を巡る思惑が広がりやすく、株価の変動率は大きめです。