リクシルグループはシステムキッチンやサッシといった住宅設備の大手です。2000年代後半から積極的な海外M&Aを仕掛け規模を拡大しました。
しかし近年は芳しくありません。取得した海外子会社で苦戦が相次ぎ、売り上げは2015年度で頭打ちとなっています。
【リクシルグループの売上高(2008年度~2022年度)】
海外事業に陰りが見え始めたきっかけがドイツのグローエ買収です。同時に取得した子会社が連結の翌月に破綻し、リクシルは最終赤字に転落しました。
リクシルがグローエを買収した経緯を振り返りましょう。
政府銀とグローエを共同買収 念願のグローバルリーダーに
リクシルがグローエを買収したのは2014年のことです。日本政策投資銀行と共同で株式の87.5%を4109億円で取得しました。残る12.5%も309億円で追加取得します(2016年9月に日本政策投資銀行の保有分を取得し完全子会社化)。
グローエは欧州を中心に水栓金具で大きなシェアを持つ企業です。当時のリクシルは「住生活産業におけるグローバルリーダーとなる」という目標をかかげ、海外企業を相次いで買収していました。中でもグローエはリクシルにとって過去最大規模の買収で、大きな注目を集めます。
【リクシルグループの主な海外M&A】
・2009年:米アメリカン・スタンダード(アジア・太平洋部門)
・2011年:伊ペルマスティリーザ
・2013年:米アメリカン・スタンダード
・2014年:独グローエ
積極的なM&Aでリクシルの海外売上高は大きく増加しました。足元では5268億円を海外で売り上げています。263億円だった2009年度からおよそ20倍に拡大した計算です(出所:リクシルグループ 個人投資家説明会資料(2015年12月))。狙い通り、リクシルは業界でトップクラスのシェアを持つ企業となりました。
【リクシルグループの地域別売り上げ(2023年3月期)】
売上高 | 構成比 | |
日本 | 9692億円 | 64.8% |
アジア | 1760億円 | 11.8% |
欧州 | 1524億円 | 10.2% |
北米 | 1829億円 | 12.2% |
その他 | 155億円 | 1.0% |