「参加しない方が良い」と感じたセミナーの特徴

結論から申し上げると、参加しない方が良いと思われるセミナーが、相当数あるのでないか、ということです。すべてがそうだとは言いませんが、私が参加した新NISAセミナーの内容に照らして、その理由をいくつか挙げてみたいと思います。

①新NISAの仕組みについての説明が少ない

まず、「新NISA」をセミナータイトルに掲げていますが、新NISAの仕組みなどに関する説明が、ほとんどありませんでした。セミナー自体は、2時間近いものでしたが、新NISAについて触れたのは、恐らくそのうち15分から20分程度です。

では、他の時間は何を説明していたのかと言うと、「なぜ今、資産運用をしなければならないのか」という気付きを与えるための部分だけで、40分以上の時間を割いていました。

「皆さん、最近スーパーに行って、モノの値段が上がっていると思いませんか?」などと言いながら、インフレによってお金の価値が下がるという話をし、そのうえでいかに預貯金の利率が低いのかという点に言及し、そこから「資産運用が大事なのです」という話に持っていきます。

まあ、言わんとしていることは分かります。ただ、この人、とても講演慣れしていらっしゃるのか話し方は上手なのですが、残念なことに内容が雑です。

「これから毎年、物価は2%ずつ上昇していきます」とおっしゃいますが、物価が毎年2%ずつ上昇するようにコントロールできるなら、とっくの昔にデフレから脱却できているでしょう。

「長期投資と複利運用で、リスクを減らしながら資産を大きく増やすことができます」という話も出ましたが、投資の時間軸を長くしたとしても、投資対象のリスク量が減るわけではありませんし、投資に複利の概念を持ち込むこと自体が間違っています。

「スーパーマーケットに並んでいる商品には為替リスクがあります。だから外貨建て資産を持つ必要があるのです」という説明もかなり雑です。確かに海外から輸入されている食材などもあるでしょうが、円安が20%進んだとしても、スーパーマーケットに並べられる商品の値段が、同じように20%上昇することはありません。そのリスクをヘッジするために外貨建て資産を持ちましょう、というロジックは、「ちょっと飛躍し過ぎなんじゃないの?」と突っ込みたくなりました。

そんな話を延々と聞かされ、肝心の新NISAに関する説明は20分程度。ちょっと納得がいきません。