コストアップ以外にもあるラーメン店への逆風

また、参入障壁の低さとインフレによるコストアップに加えて、今後は人件費の高騰も経営の圧迫要因になります。人の手を介さないと商品やサービスを提供できない外食産業にとって、働き手が不足するのは死活問題です。

最近は、一部のファミリーレストランがロボットによる配膳システムを導入していますが、個人経営のラーメン店が同じものを導入するのは不可能ですし、人を雇おうとしても収益面で厳しい以上、高給を提示することもできません。

個人経営のラーメン店が倒産、および休廃業に追い込まれるのも当然と言えるでしょう。そのくらい今の経済情勢は、小・零細規模のラーメン店にとっては逆風なのです。

これからやってくる“大盤振る舞い”のツケ

それでも2021年、2022年のラーメン店の倒産、ならびに休廃業の件数が減少したのは、この時期、ラーメン店を取り巻く経済環境が良好だったからではありません。新型コロナウイルスの感染拡大で売り上げが落ち込んだ事業者に対して、実質無利子・無担保で実行された「ゼロゼロ融資」や、各種補償によって一息つけたからです。

しかし、これは恐らく今後に禍根を残すことになるでしょう。中小企業がゾンビ化したと言われているように、本来なら淘汰(とうた)されてしかるべき中小企業までもが、この手の資金によって生き延びられてしまったからです。

そもそも淘汰されるべき企業の売り上げは、たとえコロナ禍が一段落したからといっても、コロナ前の水準には戻らないでしょう。そして、ゼロゼロ融資を受けた企業の中には、返済できないところも出てきます。会計検査院の調べによると、ゼロゼロ融資全体の6%に相当する約8700億円が不良債権化し、回収不能額が697億円にも達したと報じられています。

この不良債権を最終的に負担するのは、私たち納税者です。ラーメン店に限った話ではありませんが、コロナ禍で実行されたさまざまな大盤振る舞いのツケが、これから本格的に回ってくるのです。

参考
・東京商工リサーチ「2023年『ラーメン店』の倒産、休廃業が過去最多 倒産が45件、休廃業は29件、コストアップが重荷」
・総務省「2020年基準 消費者物価指数」
・会計検査院「日本政策金融公庫等が実施した新型コロナ特別貸付等の状況」