インカム収入を受け取れるポートフォリオの考え方

たとえば1200万円まで運用できる成長投資枠で、J-REITや高配当利回り銘柄を保有します。1200万円の枠を一杯にした時の配当利回りが平均で年5%だとしたら、毎年60万円のインカム収入を得られます。毎年60万円ということは、毎月5万円です。

さらにつみたて投資枠の600万円ですが、これは残念ながら投資信託とETFのみしか購入できず、しかも現在の商品ラインナップを見る限り、高いインカム収入を狙えるものはありません。

そこで、もし、つみたて投資枠の600万円が、運用収益を含めて1200万円くらいになっていたとしたら、これを解約して課税口座に移すという手もあります。そして、課税口座を使って高配当利回り銘柄などに投資するのです。

仮に5%の配当利回りが得られれば、課税後に得られる配当金の額は年48万円です。月に直すと4万円ですから、成長投資枠で得られる5万円のインカム収入を合計すると、毎月9万円を得られます。

公的年金以外に毎月9万円の収入を運用資産から得られたら、これは結構、豊かな老後生活が送れるのではないでしょうか。

よく引き合いに出されますが、「老後2000万円問題」では、無職の高齢者夫婦が30年間生活するうえで不足するお金は毎月5万5000円。30年で1980万円という試算になっていますが、このモデルケースがそのまま適用される人にとっては、毎月の不足額を補って余りあるインカム収入を得られることになります。

しかも、この方法の良いところは、運用資産が目減りしない点にあります。成長投資枠から5万円、課税口座から4万円の計9万円は、あくまでもインカム収入によるものなので、元本の取り崩しは発生しません。時間の経過と共に元本が目減りしていくことに対して、ハラハラする必要がないのです。