なぜ、シニア未婚女性は老後の準備に積極的?
では、シニア未婚女性がなぜ老後の準備を真剣に考えているのでしょうか。
同レポートでは、「シニアの未婚女性の投資への積極性について考える上で、関連があると考えられる三つの特徴について紹介したい。一つ目は、老後の生活資金に対する不安の大きさである」と指摘しています。
前出のデータを見る限り、シニア未婚女性の場合、老後の生活資金の備えとして預貯金、生命保険の比率が高く、一方で有価証券や不動産が極めて低いことからすると、必ずしも投資に積極的だとは言えないような気もします。しかし、基本的にシニア未婚男性に比べれば、はるかに老後の生活資金の準備について積極的であることは事実です。それは、「準備をしていない」と答えた回答比が、女性は9.7%と低いのに対し、男性は35.3%もいることからも明らかです。
したがって、同レポートにある「シニアの未婚女性の投資への積極性」は、「シニアの未婚女性の老後の生活資金準備への積極性」に読み替えた方が、恐らく妥当でしょう。
そして、そこまで老後の生活資金準備に対して積極的な理由として挙げているのが、「老後の生活資金に対する不安の大きさ」です。
「とても不安」、「どちらかといえば不安」を合わせた不安層の比率は、シニア未婚男性の55.9%に対して、シニア未婚女性のそれは64.6%です。また同じシニア女性を属性別で見た不安層の比率は、「配偶者あり」が59.0%、「離別・死別」が56.1%で、いずれもシニア未婚女性に比べて不安層の比率が低く出ています。
そして、この不安感の強さが後押しするのかどうかは定かでありませんが、シニア未婚女性は総じて資産状況が良い、という数字があります。
同レポートにある「性・配偶関係別にみた高齢者世帯の資産状況」の数字を見ると、シニア未婚女性で保有資産が100万円未満は9.7%であるのに対して、シニア未婚男性は29.4%でした。
1000万円以上2000万円未満については、シニア未婚男性が20.6%で、シニア未婚女性の6.5%を大きく上回っています。ところが、2000万円以上を保有している比率を見ると、シニア未婚男性の11.7%に対し、シニア未婚女性は25.8%と大きく上回り、さらにそのうち5000万円以上の比率を見ると、シニア未婚男性の8.8%に対して、シニア未婚女性は16.1%にもなります。
加えて言うなら、5000万円以上のうち1億円以上の比率は、シニア未婚女性が3.2%であるのに対し、男性は0%でした。