前倒し発行
大量の国債発行を円滑に行うために、借換債は会計年度を越えて前年度の前倒し発行が可能となっています。
これは、国債の大量償還が続くことが見込まれるなか、「満期償還が集中した場合の影響の緩和」「各年度の国債市中発行額の大幅な変動の抑制」「金融情勢などに応じた借換債の弾力的な発行」などを可能にするためです。
「令和5年度国債発行予定額」には「年度間調整分」が記載されています。「年度間調整分」には前倒債発行の差額のほか、当年度と前年度の「出納整理期間発行※3」の差額も含みます。
※3 翌年度の4~6月に特例国債や復興債の一部を発行する仕組み。
これは、4~6月の期間であれば、前年度の出納整理期間内発行と当年度の前倒し発行分の調整によって、年度を跨いだ国債発行額の調整が可能ということです。これによって補正予算編成時に調整を行い、余裕があれば、この調整額によって新規の国債増発を避けるといった事例もありました。
この前倒し発行分は、何かしらのアクシデントで一時的に国債が発行できないときや、国債の増発を抑えたいときのいわゆるバッファーのような役割も持っているのです。