日々のニュースで取り上げられる“経済指標”。投資のみならず、ビジネスパーソンとして日本経済、世界経済の現状や“その先”を読み解くのにも必須です。
話題の書籍『経済指標 読み方がわかる事典』では、人気経済アナリストの森永康平氏が指標64項目の読み方と使い方を優しく解説。今回は同書の11章「株価や貨幣量がわかる指標」を特別に公開します。(全3回)
●第1回:日経平均とTOPIXは何が違う? 知ってるようで知らない「株価指数」の違い
※本稿は、森永康平著『経済指標 読み方がわかる事典』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。
通貨量をもとに経済活動が活発かどうかを把握する指標
マネーストック統計とは、金融機関から経済全体に供給されている通貨の総量(マネーストック)を示す経済指標です。
そもそもマネーストックとは、金融部門から経済全体に供給されている通貨の総量のことを指します。具体的にいうと、一般法人、個人、地方公共団体などの通貨保有主体(金融機関・中央政府を除いた経済主体)が保有する通貨(現金通貨や預金通貨など)の残高を合計した値です。
私たちは、働いて給料(お金)をもらい、モノを買ったりサービスを受けたりするためにお金を支払います。マネーストック統計とは、このような企業や家計などの経済主体が保有する現金や預金の残高を集計したものです。
個人投資家も、金融緩和の規模を確認するために定期的に確認するようにしましょう。経済活動のほとんどは通貨を介して行なわれます。そのため、マネーストックをコントロールすることで経済活動全体に影響が生じます。
マネーストック統計を見ると何がわかるのか?
民間金融機関や企業・家計にどれぐらいお金が流通しているかを把握することができます。
私たちが暮らす社会では経済活動を円滑に行なうために通貨を介していることから、通貨の量によって経済活動の状態を把握することが可能になります。金融部門から経済全体にどれほどの通貨が供給されているか、通貨の総量であるマネーストックを確認しましょう。
たとえば、景気が良いときは、設備投資を行なうために企業が積極的に銀行からお金を借りるようになり、マネーストックが増加します。
しかし、銀行から供給される通貨の量が増加しすぎると、インフレが進んだり、バブルが膨らんだりする可能性があります。不況の場合はその逆になります。