憧れのマイホームに妻の顔が曇り…その理由は?
ところが、いざマンションの価格とローンの計画を告げると、奥さまの顔がいきなり曇ったのです。驚いたSさん。理由を聞いてみると、奥さまは「将来、娘は私立中学に行かせたい」と言い出したのです。「中学は公立に行かせるんじゃなかったのか?」とSさんは問いただしました。すると、奥さまは最近起きた出来事を話し始めたといいます。
「隣のお宅の上のお嬢さんが来年、中学受験をするらしくて……。中学受験をする場合は少なくとも小学校4年生から塾に通わないといけないみたい。早い子は小1から通っているんだって。しかも、ママさんとお話していたら、『来年度は最終学年だから塾代は100万円以上よ、痛いわ』って。そんなにお金がかかるなんて知らなかった。とてもこんな高いローンは組めない……」
よくよく聞いてみれば、Sさんのお住まいの地域では、小学校のクラスの約半数が私立中学を受験するとのこと。また、その後、調べてみると高校まで公立に行かせたとしても、今度は塾代や予備校代が高くつくということ。特に首都圏では私立の中高一貫校に行かせたほうが大学進学率も高いことなどが、奥さまのリサーチでわかってきたそうです。「高校までのんびり……なんて思っていたけど、時代が違うのか」自分の時代との教育環境の違いに、Sさんは衝撃を受けました。
マイホームの購入予定地も、現在の居住地と近い場所ですから、環境は似ています。公立に行かせたいと思っていても、クラスの半数が中学受験をするとなれば、娘も「みんなが行くから私立に行きたい」と言いだすかもしれません。なにより、本人が希望する教育を、できる限り受けさせたい。それが奥さまの意見でした。
聞けば、お隣のお宅のお嬢さんも、少し前までは受験に興味がなかったのに、小学校の中学年くらいになって「お友達も受験するから、自分も中学受験をしたい」と言い出したそう。奥さまはお隣のママさんに、「『うちは公立でいい』と言っていても、そういうわけにはいかない場合もあるわよ」と、アドバイスされたそうです。
もちろん、Sさんご夫婦もお嬢さんが生まれた直後に学資保険に加入して月々積み立てをしており、それ以外に貯蓄額もそれなりにありました。しかし、私立の中高一貫校に行かせるとなれば、6年間で約500万円学費がかかるといわれます。それにプラスして小4からの塾代を考えると、とても高額の住宅ローンを組む余裕はありません。「ローン計画を見直す必要があるな……」。Sさんはしみじみ感じたといいます。