おひとりさま世帯の家計データは

次に、高齢単身者世帯の家計収支です。1人分の年金は月12万程度で支出は14万円程度と分かります。収入に見合う生活をしていると想像ができますが、やはり不足が2万円発生しています。年間24万円とすると100歳までの不足額は840万円です。

●図2 65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2022年-

出所:総務省 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要

最後に勤労者世帯の実態を見てみましょう。平均世帯人数3.24人、平均有業人員1.79人、世帯主の平均年齢50.4歳のデータです。実収入は1世帯あたり1カ月平均61万7654円となっています。平均有業人員は1.79人ですから、夫婦共に仕事をして家計を支えている様子が分かります。ここから、税金と社会保険料を差し引いた可処分所得は50万0914円です。そして支出は32万0627円ですから、黒字が18万0286円です。

●図3 2人以上の世帯のうち勤労者世帯の家計収支 -2022年- 

出所:総務省 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要

上記3つのグラフを、まとめて表にしたものが以下です。割合表示だったものを筆者が計算しました。

●表 家計収支の金額換算一覧

出所:「総務省 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要」を基に筆者が作成

勤労世帯と高齢世帯の支出の内訳を比較していきましょう。勤労世帯を現在のご自身の暮らしと見立ててみると気づきもあるかと思います。勤労世帯の平均世帯像は、夫婦に同居の子どもが1人のイメージですから、恐らく近しい方も多いでしょう。そして高齢無職夫婦世帯の家計は、定年後の暮らしをイメージしながら見ていきましょう。就労収入はほぼなく、基本的には老齢年金をベースに暮らしています。

食費や光熱水道費、家事用品と言った基本的な生活費は意外に変わりません。一方交通・通信と教育費には大きな変化があります。教養娯楽費と交際費を見ると、高齢期においてもおつきあいを大切にしている様子が見て取れます。少し意地悪な見方をすると、高齢無職夫婦世帯の月の赤字は交際費を削ることで帳消しにできそうなことも分かります。逆に言うと、老後の“豊かな暮らし”を実現するのが、年金以外の取り崩し可能な資産だということです。