社員が拠出金を負担して退職金を増やす仕組みも
確定給付企業年金(以下、DB)も確定拠出年金(以下、企業型DC)も、積立金を負担するのは企業側です。しかし、中には、加入者である社員が積立金を上乗せできる制度を導入している会社もあります。
DBの場合、従業員が上乗せできる掛金は、会社が負担する掛金の2分の1を超えないこととされています。
一方、企業型DCは、会社に「マッチング拠出」という制度があれば、従業員は、事業主が負担する掛金との合計額が限度額以内におさまる範囲内で、掛金を上乗せ拠出できます。ただし、従業員の掛金は会社の掛金額を上回ることはできません。
〈企業型DCのマッチング拠出限度額〉
会社の企業年金が企業型DCのみ:会社の掛金+社員の掛金→月額5万5000円以内
他の企業年金と企業型DCの併用:会社の掛金+社員の掛金→月額2万7500円以内
従業員が掛金を負担した場合、DBは生命保険控除、企業型DCは小規模企業共済等掛金控除の対象になります。
ただし、DBの掛金は、他の生命保険料と合算して年間4万円が控除の限度額であるため、他の保険で生命保険控除を使い切っている場合は、税優遇メリットはありません。
一方、企業型DCの掛金は、全額が小規模企業共済等掛金控除の対象になるため、マッチング拠出をすると、所得税や住民税が安くなる効果が期待できます。
DBは分割で受け取ると利息がつく
定年退職のとき、DBも企業型DCも受け取り方には次の3つの選択肢がある場合がほとんどです。
①一時金で受け取る
②年金(分割)で受け取る
③一時金と年金(分割)を組み合わせて受け取る
選択肢が同じでも、大きく違うのは、年金(分割)で受け取った場合に、DBは受取期間中、あらかじめ約束された利息がつくということです。受取期間は、5年以上で会社によって選択できる期間が異なります。
一方、企業型DCは、従業員が自分で運用しているため、受け取りを分割にしたからといって利息はつきません。投資信託で運用している場合は分割で受け取る期間中も価額が変動するため、値上がりすれば予定より多く受け取れますが、値下がりにより受け取る金額が減る可能性もあります。