銀行・証券・西友は売却 モバイルの出血に耐える
マイトリップ・ネットをはじめ、かつてはさまざまな企業買収を演じた楽天ですが、今ではグループの売却を進めています。楽天銀行を2023年4月に上場させたほか、2021年にかけて取得した西武HD株式も同年5月に売却を発表しました。さらに楽天証券HDも、2022年にみずほフィナンシャルグループの出資を受け入れたほか、2023年7月に上場を申請しています。
楽天が子会社を相次いで手放す背景には「楽天モバイル」の赤字があります。楽天は2019年から自社回線を利用したモバイル事業をスタートしました。先行投資の状況が続いており、2022年12月期では4900億円以上の損失が生じています。
【楽天グループのセグメント業績(2022年12月期)】
売上高 | セグメント損益 | |
インターネットサービス | 1兆858.72億円 | 782.03億円 |
フィンテック | 6633.93億円 | 987.04億円 |
モバイル | 3686.69億円 | -4928.30億円 |
出所:楽天グループ 決算短信
マイトリップ・ネットの子会社化では買いで反応した投資家も、モバイル事業の不振には弱気のようです。楽天グループ株式は値下がり傾向を強めており、株価は2010年以降で最低水準へと沈んでいます。楽天はモバイル事業の収益化に強気ですが、それまでは株式市場で厳しい評価が続くかもしれません。
【楽天グループの株価(月足終値、2006年7月~2023年7月)】
文/若山卓也(わかやまFPサービス)