アサヒグループホールディングスは積極的な海外M&Aで拡大してきた企業です。2019年7月にはオーストラリアのカールトン&ユナイテッドブリュワリーズなどの買収を発表して注目されました。巨額な買収費用が嫌気されたのか、発表直後アサヒグループ株式は急落しています。
【当時のアサヒグループ株価(日足終値、2019年7月~2019年12月)】
世界最大級ビール会社の豪州事業を1兆1400億円で取得
アサヒグループの豪カールトン買収は、ベルギーの世界最大級のビール会社アンハイザー・ブッシュ・インベブから、オーストラリア事業の大半を譲り受ける形で実現しました。カールトンはその一環として取得したものです(最終的に55社を買収)。
買収総額は160億豪ドル、当時の為替(1豪ドル=71.35円)で1兆1416億円にも上りました。これはアサヒグループのM&Aで過去最大だとみられています。カールトンはオーストラリアのビール最大手で、単純計算で約1600億円の増収効果を得ることとなりました。
【豪カールトン事業の業績および財務(2019年12月期)】
・純資産:936億円
・総資産:9515億円
・売上高:1610億円
・営業利益:634億円
※1豪ドル=71.35円で計算
出所:アサヒグループホールディングス リリース
カールトン買収は借入金で賄ったため財務の悪化を招きます。これを補うため2020年に公募増資や劣後債の発行などで資金調達し、2021年3月に借入金を完済しました。コロナ禍での増資となったため株価への影響が懸念されましたが、その後はおおむね上昇しています。
【自己資本比率】
・2019年12月期:39.7%
・2020年12月期:34.2%
・2021年12月期:38.6%
・2022年12月期:42.7%
出所:アサヒグループホールディングス 決算短信
【アサヒグループの株価(月足、2020年1月~2023年5月)】