定年退職後も稼ぎ続けるために

高齢者は高齢ゆえに体力・集中力・緻密さ・記憶力に欠け、パフォーマンスが落ちるのではないかという懸念(思い込み)があります。また、指示がしにくいとか会話が噛み合わないなど、コミュニケーションの不安があります。

さらに高齢になればガンコになる人も少なくないため、組織風土や仕事の進め方に馴染めるか、という不安もある。むろん、「そう長くは働いてもらえないから、いずれまた求人を出さないといけなくなる」懸念は大きいでしょう。

そのため、経営者はどうせ同じ給料で雇うなら、わざわざ年配の人を選ぶよりも、若くて元気で素直で長く勤めてくれる可能性のある若者を選ぶということになります。つまり高齢だと職にあぶれる可能性が高いのです。

年齢に関係なく働ける「経営顧問」という道

ただし、経験がモノを言う専門的な領域は話が別です。

たとえば生産管理や物流マネジメント、経営企画や組織人事設計、さらには海外進出などといった専門分野では、あまり年齢は関係なく、そのノウハウを欲する企業から請われます。

インフラ関連では海外の新興国からのニーズもあり、JICA(国際協力機構)などを通じて数年間派遣されるというケースもあるようです。

日本国内の場合、正社員ではなく社外取締役や経営顧問といった形で業務を受託するという形態が中心で、実際、70歳を過ぎても現役で働いている人も少なくありません。むろん激務ではなく、週1回とか月1回だけ会社に赴き、数時間アドバイスするだけという関わり方が多いようです。

この場合は(契約内容次第ですが)兼業もアリですから、1社あたり月20万円で契約したとして、こういう経営顧問先を3社ゲットできれば月60万円の収入になります。

そういった老後の選択肢を広げるには、やはり将来を見据えたキャリア形成の戦略が必要で、そういう経験を積めるよう会社に働きかけて、異動などを申し出るなどしてもいいでしょう。

●第2回(なぜローンでベンツを買う? お金持ちが実践している“そろばんのはじき方”)では、敬遠する人が少なくない数学のもつ偏見と、将来に対して有利な選択をするためのスキルについて解説します。

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