債券のニュースを読み解くための2つの知識
では、冒頭に書いたニュース記事例に話を戻します。経済誌には、このような記事がさらっと書かれています。しかし、金融庁調査の正解率を見ると、たとえ投資経験者であったとしても、3分の1の人はこの記事の意味するところが分からない、ということになります。
特に新聞記事は、決まった紙面の中に膨大な情報量を盛り込む必要があることから、細かく解説するような書き方はしません。ある一定レベルの知識を持っている人が読むことを前提に、記事が書かれています。
つまり、「消費者物価指数の上昇率が、前年同月比で低下し、債券相場が堅調に推移」という記事の意味は、「物価と金利の関係」、「金利と債券価格の関係」を理解していないと分かりません。
①物価と金利の関係
まず、「消費者物価指数の上昇率が、前年同月比で低下」という部分は、インフレの話です。消費者物価指数の前年同月比上昇率が、例えば前月が4%だったのに対し、今月が2.5%になったとしたら、これはインフレの勢いが弱まったことを意味します。
金利は物価上昇率が高まると上昇します。日銀は金利水準や、世の中に流通するお金の量を調整する「金融政策」を通じて、景気や物価に影響を与えます。
景気が悪い時はデフレ懸念が強まるため、金利を下げて消費や投資が活発になるようにします。一方、景気が過熱気味の時はインフレ懸念が強まるため、金利を上げて消費や投資にブレーキをかけます。
つまり記事の例にあるように、消費者物価指数の上昇率が落ち着きを見せた時は、「やがて景気も停滞に向かうから、日銀の金融緩和政策によって金利は低下するだろう」という連想につながります。
②金利と債券価格の関係
上記の「物価と金利」の関係に加え、「金利と債券価格の関係」も理解しておく必要があります。これについては、「金利が上がると債券価格は下がる」、「金利が下がると債券価格は上がる」という不変とも言うべき関係があるので、丸暗記してもらって良いでしょう。
ですが、中には丸暗記では納得できない方もいらっしゃるでしょうから、「金利が下がるとなぜ債券価格は上がるのか」を例に説明したいと思いますが、その前に、そもそも「債券価格」とは何か、というところから説明していきましょう。