ビジネスで大切なのは「儲ける」こと
ここで確認しておきます。価格と価値 ※2は違います。本来の価値を知らずして、価格の低さで一喜一憂しているわけです。多かれ少なかれ、「価格の不透明性」が収益の源泉であるというのは、どんなビジネスにも当てはまることです。それが顕著なのが、風俗業界と金融ビジネスということでしょう。
※2 投資家ウォーレン・バフェットは、「価格とは、何かを買うときに支払うもの。価値とは、何かを買うときに手に入れるものです」と述べています。
ひるがえって、ビジネスの現場ではどうでしょうか? 状況はそれほど変わりません。たいていの企業は、ビジネスというゲームのルールを知らないで戦っているのが現状です。では、ビジネスというゲームのルールは何でしょうか?
「お客様の満足のいく商品をリーズナブルな価格で提供する」
確かに大事ではありますが、それは、ゲームを続けていくために必要な1つの要素にすぎません。ルールは簡単です。「儲ける」ことにつきます。「そんなの当たり前だろ」と言う人が多いと思います。そんな人に聞いてみましょう。
「昨年1年間の株式投資で5,000万円のキャピタルゲイン(売却益)を獲得したあなたは、儲かっていると言えますか?」
「わかりません」と答えるのが正解です。儲かっているか否かを判断するには、少なくとも投下資本と調達コストを考慮する必要があります。投下資本というのは、5,000万円のキャピタルゲインを得るためにいくらのお金を投資したかということです。
見るべきは、キャピタルゲインの絶対額ではなく、リターン ※3です。この場合に5億円の投下資本であれば、利回りは10%ですし、20億円であれば、2.5%になるわけです。
※3 リターン(利回り)は、「アウトプット/インプット」で計算できます。この例ではアウトプットは5,000万円のキャピタルゲイン、インプットは投下資本にあたります。
仮に利回りが10%だとしても、5億円の調達コストが15%であれば、逆ザヤになってしまいます。世間では、運用サイドのリターンばかり気にする風潮がありますが、「調達サイドのコスト」がわかっていないと意味がないわけです。
ところが、いまだにマスコミは、「総資産いくらの大企業」という特集を組んだりしています。それだけの資産を維持するためのコストについては、まったく考えがおよんでいないのです。
ビジネスパーソンの多くはマーケティングについては一定レベル以上の知識と理解を持っていますが、ファイナンスについてはほとんど知識を持ち合わせていないのが現実です。
ところが、ビジネススクールでMBAを取得しようとすると、マーケティングもファイナンスも必修科目なのです。それだけファイナンスの重要性が認識されているにもかかわらず、多くのビジネスパーソンは気がついていません。
ここは本記事にたどり着いたあなたにとって大チャンスなのです。
「ファイナンス」の読み書き能力があれば、少なくとも100円の価値のものを1,000円で買うようなことや、反対に、1,000円の価値のあるものを100円で売ってしまうようなこともなくなるのです。