暗号資産という言葉に対して聞き覚えがないという方でも、「ビットコイン」なら1度や2度、その名を耳にしたことはあるでしょう。昨今、そうした有名な暗号資産を悪用した投資詐欺が多発していますが、どんな手口で被害者はだまされてしまうのでしょうか。

そもそも、暗号資産とは?

暗号資産は、かつて「仮想通貨」と呼ばれていたもので、日本銀行によると「インターネット上でやりとりできる財産的価値」であり、以下の性質を有するものと定義されています。

(1)不特定の者に対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米ドル等)と相互に交換できる
(2)電子的に記録され、移転できる
(3)法定通貨または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではない

出所:日本銀行「教えて!にちぎん」

暗号資産は、「ブロックチェーン」と呼ばれている電子取引台帳、すなわち暗号化によって、各種取引履歴を連鎖的に記録させる技術を用いて通貨価値を記録し、各種決済に使用できるものです。

紙幣、貨幣のようにリアルな「お金」の姿かたちは見られませんが、リアルマネーと同様、決済や交換、価値の保存といった通貨としての機能を持ち合わせています。かれこれ世の中に登場して10年ほどが経ちました。

暗号資産に注目が集まる“あるタイミング”

その暗号資産が時折、大きな話題を呼ぶことがあります。大抵は、その価格が大きく上昇した時です。

暗号資産は確かに決済通貨としての側面を持ち合わせているのですが、現状では、ある種の思惑で取引価格が高騰するのを狙って売買し、価格差を利益にする投機的な対象になっています。

過去の値動きを見ると、2015年の10月頃までは1BTC=4万円程度で推移していたのが、2017年12月に167万円まで上昇。2019年2月には42万円まで下落。2020年9月頃までは113万円前後で推移していたのが、2021年4月には一気に632万円まで急騰しました。その後、320万円程度まで急落して、2021年11月には780万円の高値をつけ、現在は350万円程度で推移しています。

この数字を追いかけるだけでも、非常に値動きの荒さが見て取れます。逆に言えば、値動きが荒いということは、それだけ大きく利益を得るチャンスもあります。

そのため、一獲千金を狙っているような個人も含めて、暗号資産に値動きが出てくると、一気に投機的なマーケットになるのです。