なぜ「全米」は「S&P500」よりリスクが高い?
楽天・VTIは、アメリカ株式のほぼ全てを網羅する「CRSP USトータルマーケットインデックス」への連動を目指すインデックスファンドですが、同じアメリカの株価指数である「S&P500」への連動を目指すインデックスファンドとよく比較されるようです。
どちらの株価指数もアメリカ株式のみで構成される点では同じですが、大まかには以下のような違いがあります。
【株価指数の比較】
CRSP US |
S&P500 | |
構成銘柄数 | 約3900社 | 約500社 |
米国市場のカバー率 | 約100% | 約80% |
構成銘柄の規模 | 大型~小型 | 大型 |
出所:CRSP、S&P・ダウ・ジョーンズ・インデックス
分散投資の観点では、CRSP USトータルマーケットインデックスの方がリスクは下がりそうですが、実はこれまでS&P500よりもやや大きな値動きが生じる傾向にありました。これは構成銘柄の規模の違いが関係していると考えられます。
S&P500は大型株のみで構成されますが、CRSP USトータルマーケットインデックスは規模の小さい企業の株式も含まれます。小型株は成長過程にあることが多く、事業が成熟した大型株と比べると値動きが大きくなりやすい傾向にあります。このため、CRSP USトータルマーケットインデックスの値動きは、S&P500よりも大きくなりやすいといえます。
もっとも、CRSP USトータルマーケットインデックスも大部分は大型株で構成されており、S&P500と値動きに違いはほとんどありません。アメリカ株式で運用したい人のうち、「少しでもリスクを取って積極的な運用をしたい」という人は楽天・VTIを選んでみてはいかがでしょうか。
【楽天・全米株式インデックス・ファンドの概要】
銘柄 | 楽天・全米株式インデックス・ファンド (愛称:楽天・VTI) |
運用会社 | 楽天投信投資顧問 |
ファンドのタイプ | 海外株式型 |
設定日 | 2017年9月29日 |
信託期間 | 無期限 |
決算日 | 7月15日 |
受渡期間 | 5営業日 |
販売手数料(最大、税込み) | なし |
信託報酬(全体、税込み) | 0.162% |
信託報酬(販売会社、税込み) | 0.055% |
信託財産留保額 | なし |
主な販売会社 | SBI証券 楽天証券 マネックス証券 |
執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。