「キャピタル」最古の戦略で運用される海外株式ファンド

「キャピタル・インベストメント・カンパニー・オブ・ アメリカ ICA」(以下:キャピタルICA)は2022年に資金が流入し、純資産総額は1500億円台にまで到達しました。

【キャピタル・インベストメント・カンパニー・オブ・ アメリカ ICA】

出所:投資信託協会「投信総合検索ライブラリー」より著者作成

キャピタルICAは、キャピタルグループが1934年から手掛ける「ICA運用」と同一の手法で運用されるファンドで、主にアメリカ株式に投資します。アメリカ株式で運用される投資信託は人気がありますが、その中でなぜキャピタルICAは選ばれているのでしょうか。

85年超の運用実績と4万1600倍ものリターンが投資家に訴求

キャピタルICAは、過去の運用実績が評価され資金を集めていると考えられます。

キャピタルグループは1931年に創業し、最初のファンドとして1934年に「The Investment Company of America (ICA) 」の運用を開始しました。実に85年以上の歴史を持つファンドで、既述の通りキャピタルICAはこのICA運用と同一の運用手法を取ります。

ICA運用は運用開始以来、社会構造や経済の変化をとらえ、その時代に合わせて妙味のある銘柄に投資してきました。銘柄の選別は奏功し、1933年末から2022年10月の運用実績は約4万1600倍にもなります。これは毎年約12.7%ものリターンを稼いだ計算です。

【ICA運用の投資銘柄の変遷】

  時代背景 投資事例
1930年代 世界大恐慌
ニューディール政策による景気回復
グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー
クライスラー
1960年代 財政収支の縮小とサービス産業の台頭
ベトナム戦争
R.J.レイノルズ・タバコ
ノースウェスト航空
1990年代     日欧企業の台頭、貿易摩擦
湾岸戦争
タイム・ワーナー
AT&T
2020年代以降 新型コロナウイルス感染症拡大   
デジタル利用の加速
アボットラボラトリーズ
マイクロソフト

出所:キャピタル・インターナショナル 販売用資料(2023年1月)

【1933年12月末~2022年10月末の運用実績(米ドルベース)】

出所:キャピタル・インターナショナル 販売用資料(2023年1月)より著者作成

ICA運用の実績は、多くの投資家にとって魅力的でしょう。これと同じ運用が行われることに期待した資金がキャピタルICAに向かったと考えられます。

再現性の高い運用体制も魅力

これまでと同様の運用が継続されることに期待しやすい点も、キャピタルICAが資金を集めた理由の1つでしょう。

ICA運用はこれまで驚異的なリターンを稼ぎましたが、運用年数の長さから、ファンドマネージャーの引退を心配する人もいるかもしれません。

しかしICA運用は、複数のポートフォリオ・マネージャーが1つのファンドを運用する「キャピタル・システム」が採用されており、現在9名の運用チームがキャピタルICAのマザーファンドを運用しています(2022年末時点)。単独のマネジャーにみられるような世代交代リスクは、チームで運用されるキャピタルICAでは過度に心配する必要はありません。

またICA運用は、長期的には銘柄を入れ替えながら運用してきましたが、頻繁に売買している様子もみられません。ICA運用は長期投資を主軸としており、保有期間が8年以上の銘柄が過半を占めています(2022年9月末時点)。過度に銘柄が入れ替わらないことから、運用の安定に期待しやすいでしょう。

【ICA運用における投資銘柄の保有期間(2022年9月末時点)】

出所:キャピタル・インターナショナル 販売用資料(2023年1月)より著者作成