貯蓄は何で運用されている?

では、これらの貯蓄は何で運用されているのでしょうか。貯蓄の種類別貯蓄現在高を見ると、相変わらず預金偏重であることがよくわかります。

2人以上世帯のうち勤労者世帯で見ると、2022年の貯蓄現在高が1508万円で、それがどのような金融商品別になっているのかを見ると、

通貨性預貯金・・・・・・556万円
定期性預貯金・・・・・・384万円
生命保険など・・・・・・321万円
貸付信託・金銭信託・・・5万円
株式・・・・・・・・・・91万円
債券・・・・・・・・・・17万円
投資信託・・・・・・・・81万円
金融機関外・・・・・・・52万円

出所:「家計調査報告(貯蓄・負債編)」(令和5年5月12日)

以上のようになりました。

リスク性商品である株式と投資信託の合計金額が172万円ですから、貯蓄現在高に対する比率は11.4%に過ぎません。逆に通貨性預貯金と定期性預貯金の合計額が940万円ですから、貯蓄現在高に対する比率は62.3%も占めています。

これに貸付信託・金銭信託と債券をあわせれば、その金額は962万円になり、さらにどういうタイプかまでは分からないものの、払い込んだ保険料に対して、それを上回る保険金が下りるはずの生命保険の額を加えると、貯蓄現在高の85%を占める1283万円が、比較的安全性の高い金融商品で運用されていることになります。

ちなみに、2022年時点では、通貨性預貯金の現在高が定期性預貯金のそれを上回っていますが、遡って2017年時点を見ると、通貨性預貯金の371万円に対して、定期性預貯金は445万円でした。

本来、運用という観点からすれば定性預貯金の現在高が、通貨性預貯金のそれを上回るのが普通ですが、超低金利が長期化した中で、実は通貨性預貯金に預けても、定期性預貯金に預けても、実際に受け取れる利息には大差がないことに多くの預金者が気付いたのだと思います。

受け取れる利息に大差が無ければ、一定期間解約ができない定期性預貯金に比べ、いつでも自由に解約できる通貨性預貯金にメリットを見出す人が多いということです。