いわゆる「老後2000万円問題」がきっかけの1つとなって、資産形成の機運が高まりつつあります。そうはいっても、リタイアまで10年ほどしか残されていない50代の人の中には「今さら間に合うのだろうか?」と不安に思う人が少なくないようです。
そんな不安に寄り添うのが、話題の書籍『とっくに50代 老後のお金どう作ればいいですか?』。50代の人に向け、どう老後資金を準備すればいいのか、長尾義弘氏が解説しています。今回は本書冒頭の『はじめに』と『とっくに50代…「老後の資金」はどうしたらいいですか!?』、『とっくに50代…「年金」を増やす方法はありませんか?』の一部を特別に公開します。(全3回)
●第1回:退職するまでにどれくらいお金を貯めている? 60歳を迎える人の平均貯蓄額は…
※本稿は、長尾義弘著『とっくに50代 老後のお金どう作ればいいですか?』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
実際、リタイア後の生活費は、毎月どれくらい必要…?
――人のことは言えませんが、この調査(第1回参照)の貯蓄額を見ると、お金の面で大変な人はかなり多そうですね。とはいっても、それなりに暮らせるのでは? 年を取ったら、若いときほどお金は使わないでしょうし。
長尾FP:なるほど。では、夫婦2人の老後の生活で、ひと月にお金がどれくらい必要になると思いますか?
――そうですね。それほど使わないだろうと言ってはみたものの、自分の近い将来のことだと想像してみると、やっぱり、それなりの暮らしは維持したいですよね。ぶっちゃけ、いまはひと月30数万円で暮らしています。できれば、同じくらいの生活レベルをキープしたいなあ。
長尾FP:なるほど、そうですか。先ほどの生命保険文化センターの意識調査によると、夫婦2人がゆとりある老後生活をおくるのに必要な金額は月額36万1000円です。
「ゆとり」と考えるのは旅行やレジャー、趣味、教養にかかる費用、それに日常生活費の充実となっています。あなたが希望する生活レベルは、このデータにけっこう近いということです。
――わたしはごく普通の人生をおくってきて、これからもごく普通の感覚で暮らしていきそうですね。あ〜、よかった!
長尾FP:そうなればいいんですけどねえ。この意識調査には、もうひとつの数字も出ています。夫婦2人で老後生活をおくるうえで必要と考える「最低日常生活費」です。これは月額22万1000円になっています。
この程度の収入があれば、余裕はないにせよ、何とかぎりぎりの生活ができるのではないか、というイメージです。
――うーん。でも、ぎりぎりの生活というのは……。せっかく頑張って何10年も働いてきたのだから、老後はそれなりに楽しんで暮らしていきたいなあ、と思うのですが、わたしは甘いのでしょうか。