インド株式型で最大級のファンド

新興国株式型の投資信託で、トップクラスの純資産総額を持つのは「野村インド株投資」です。主にインドの株式で運用される銘柄で、2005年6月の設定から370%以上のリターンを残しました(2022年末時点)。

数ある新興国の中で、なぜインドに投資する野村インド株投資が資金を集めたのでしょうか。

【野村インド株投資】
 

出所:投資信託協会「投信総合検索ライブラリー」より著者作成

経済の改善期待で資金が流入

野村インド株投資の純資産総額は、2017年に大きく増加しました。同年10月には公募投信全体で9位にランクインしています(ETF除く)。インド株式市場の流動性が懸念されるほど資金が集まったことから、2018年6月まで募集が一時停止されるほどでした。

【純資産総額(2016年~2017年)】
 

出所:投資信託協会「投信総合検索ライブラリー」より著者作成

純資産総額の増加は、インド経済の改善期待が反映されたものだと考えられます。

インドは2012年頃まで約10%ものインフレに苦しんでいました。しかし2013年にインド中銀総裁に就任したラグラム・ラジャン氏が引き締め策を実施し、インフレ懸念は大きく後退します。

【インドのインフレ率(2010~2018年)】
 

出所:IMF「世界経済見通し(2022年10月)」より著者作成

インフレ退治に成功したインドは、2015年から金融緩和にシフトしました。2014年5月に首相となったナレンドラ・モディ氏の経済政策「モディノミクス」と相まって、インド株式に期待が寄せられるようになります。日本の個人投資家においても関心が高まったことから、野村インド株投資の純資産総額が増加したと考えられます。

高成長への期待が資金を呼び込む

インドの経済成長に期待しやすい点も、野村インド株投資に資金が集まる理由の1つでしょう。

インドは長期的に人口が増加していくと考えられています。国際連合の「世界人口推計(2022年)」では、インドの人口は2024年頃に中国を抜き、その後も順調に増加する予測が示されました。なお、2022年末ですでにインドの人口が中国を上回ったと伝える報道もあります。

【2050年までの人口予測(中位推計)】
 

出所:国際連合「世界人口推計(2022年)」より著者作成

比較的近い将来の経済成長率も、インドは中国を上回ると見られています。IMFの「世界経済見通し(2022年10月)」によれば、名目GDP成長率は2027年までインドの方が中国より大きくなる見通しが示されました。

【名目GDP成長率の見通し(2022年~2027年)】

出所:IMF「世界経済見通し(2022年10月)」より著者作成

少子高齢化や低成長に苦しむ日本と対照的に、インドは国全体が成長期にあります。国内の個人投資家にとって魅力的に映りやすく、同国へ投資する野村インド株投資に資金が集まったのかもしれません。